20話 ページ21
「Aさん、見かけによらずわりとぐいぐい行く性格なんですね」
気のせいか玄弥君にも引かれている…?
もしかして兄弟そろって引かれた…。
「Aさんもやっぱり風の呼吸を使うんですか?」
『ううん。私は風の呼吸から派生した雪の呼吸のを使うの。だから日輪刀も刀身は全部真っ白なんだ』
そう。私が初めて日輪刀を握ったあの日、
刀身の色は師範の持つ刀のような色にはならなかった。
私が握ったとき、刀は切っ先まで白く変化したのだ。
あとから分かったのは、私は風の呼吸ではなく
そこから派生した雪の呼吸の方が使いやすいということ。
風の呼吸でもつかえるけれど、雪の呼吸の方がお前には合うだろう。と師範は私に言った。
風柱として継がなくても雪柱として柱になることは可能だろうと。
でも私にはそんなことはどうでもよかった。
柱になるとか、そんな事は気にしていない。
師範が少しでも自傷しなくても鬼を狩れる様に支えたいだけだった。
「あの、俺…全集中の呼吸が使えなくて…」
『悲鳴嶼さんから聞いたよ。呼吸が使えないのに最終選別をくぐり抜けたなんて凄いね』
「いや…」
玄弥くんは言いずらそうに口を真一文字にキュッと噤んだ。
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作者名:まゆ | 作成日時:2023年5月8日 1時