19話 ページ20
『それで…話したいことというのは?』
玄関で立ち話をするのもかわいそうなので、座敷にあげてお茶を用意した。
ついでに師範に作ったおはぎの残りも添えた。
今日のはなかなかいい出来だったので残しておいたのだ。
あざす。と彼はお礼を言うと一口お茶を啜った。
「甲斐田さんから…兄貴…風柱が普段どんなふうに過ごしてるのか話が聞きたくて」
お茶を膳に戻しながら玄弥君がたどたどしく問うた。
『Aでいいよ。…普段の師範は、おはぎをよく食べて胡蝶様に叱られたり、
私に稽古をつけてくれたり、柱になったころ産屋敷様にかみついた話とか』
一つ、一つ、師範について話す私の目をしっかりと見て、玄弥君は話を聞いた。
「そう、ですか…。あの俺について何か言ってたりとか…」
昨日、師範が話していたけれどこれは私の口から言うことではないだろう。
師範が彼に直接言わなければ意味を持たないのだ。
ごめんね。
『申し訳ないけど、師範は何も。昔の事…鬼殺隊に入る前のことはあまり話してくれないの』
「あの、Aさんはどうして鬼殺隊に…?」
『師範に助けてもらったの。私のいた村が鬼に襲われて皆亡くなってしまってね。
私も殺されそうになった時に師範が助けてくれた』
『その時に、鬼のこととか鬼殺隊のことを無理矢理聞いて、私も鬼狩りになりたいから
弟子にしてくれって半分強引に頼んだの』
正直、あの時の師範は若干私に引いてたと思う。
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作者名:まゆ | 作成日時:2023年5月8日 1時