12話 ページ13
結論から言うと、Aは俺の継子になった。
成り立てとはいえ、柱である俺の速度に何の経験もないコイツは、ボロボロになりながらも必死に俺の後を追った。
わざと獣道を通ったり、足場の悪い山道を通ったが
ぬかるみに足を取られても、木の枝が足を掠めても、
俺の後を追うことを辞めなかった。
何がこいつをそこまで動かすのか。
屋敷に着いた頃には、着物はボロボロに破け、
綺麗に結われていた髪は解け、草履は鼻緒が切れたのか
既に脱ぎ捨てており足は血だらけだった。
年頃の娘が見る影もなかった。
「お前、名前は」
『甲斐田Aと申します』
絶え絶えの息を整えながら名乗った。
「何故そこまでして鬼殺隊に入ろうとしてんだァ」
『…わかりません。只、助けて頂いたこの命尽きるその瞬間まで、貴方を守りたいと』
顔色一つ変えず、Aは俺に言った。
『不純な動機でしょうか』と、首を傾げるコイツに根負けした俺は、継子としてAに剣術を叩き込むことになった。
こうして俺は、柱になって間もなく継子ができた。
『あの、包帯とかはありますか』
「…胡蝶ンとこ行くかァ」
叩き込むのはこの日から3日経った後だった。
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作者名:まゆ | 作成日時:2023年5月8日 1時