11話 ページ12
〜不死川side〜
柱になって間も無い頃の任務先で、俺はAに出会った。
鎹鴉の指示で向かった先の村は鬼の襲撃によって
もう助かりそうな村人はほとんど居なかった。
ただ1人Aを除いては。
1人生き残ったAは目の前で起こった出来事についていけないのか、泣きわめくことも無く
俺に状況説明を求めてきた。
なかなか肝の座った女だな。
そして図々しい、とも思った。
それからAは鬼殺隊の事を聞くや否や、
自分も鬼殺隊に入りたいと言い出した。
鬼殺隊に入るためには、育ての元で基礎体力、剣術を学び
全集中の呼吸というものを使えるようになる必要がある。
更に、最終選別といって鬼が閉じ込められた山で7日間、
生き残ることが条件だと伝えると、Aは
『それなら貴方が稽古をつけてください』
とか図々しいことを俺に言ってくるから困ったものだった。
俺はもちろん継子をとるつもりはなかったし、
ましてや相手は女だ。
女を自分の弟子にするつもりはなかった。
二つ返事で断るも、なかなか引き下がらなかった。
『貴方が救った命だ』とか『生かしたからにはこれから生きていくために手ほどきをしろ』だの。
何やら散々言われた。
どうにもうるさかったため、
俺はある条件をAに提案した。
「お前を継子にするつもりはねぇ。今のところは、だァ
もしお前が本当に鬼殺隊に入りてぇなら死ぬ気で俺を追いかけろ。俺はただ自分の屋敷に帰るだけだ」
と。
なんの修行も積んでいない普通の娘だ。
柱になりたてとはいえ、剣術で鍛えた俺の速さにはついてこれんだろうよ……。
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作者名:まゆ | 作成日時:2023年5月8日 1時