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No.58 ページ9

??「この写真が世に出るのを止めるために、君は僕の手に応えたんだろう?」









あたしの髪の毛を鷲掴みしたまま、顔の前で挑発的にその写真をピラピラと見せる。









??「だったらもう少し考えて行動すべきだな。…これ以上居場所をなくしたくなければ。」









「ゔっ!!」









彼はぱっと髪の毛から手を離すと、思い切りあたしの溝落ち辺りを殴る。
苦しくて息が出来ず、倒れ込むあたしに躊躇うことなく彼はもう一度その写真を見せつける。









??「この写真が世に出る事が、どれだけの事かを瞬時に理解した事は褒めてあげよう。」









そう言って、彼は不気味に笑った。
その瞬間、あたしの思考は彼によって恐怖で支配された。
…写真が出回る恐怖。
それによって大切なものを失う恐怖。
逃げ出したくても、彼からは逃げ出すこと出来ない恐怖。
結局どこに行ってもあたしには居場所がない。
せっかく出来た家族も失ってしまった。
大好きなオッパとマンネ。









あたしはただ、不気味に笑い続ける彼を、睨む事しか出来なかった。


















??「とりあえず、君には今度の歌番組でこれを歌ってもらおう。」









側近の人達に引っ張られるようにして、彼の目の前に座らされたあたし。
感情のない目で彼を見ると、カバンから1枚の紙を取り出しあたしの前に置く。
恐る恐るその紙を受け取り、あたしは再び言葉を失った。









??「何も考え無しに君をデビューさせるわけないだろう?」









そう言って、ん?と眉毛をあげてあたしに同意を求める。
紙を持つあたしの手は無意識に怒りでわなわなと震えている。
だけど彼は、あたしが抵抗出来ないのも分かった上でこれを提示している。
…人を馬鹿にするのも大概にしてほしいね。









これで、あの写真が出回らないなら
これで、みんなを守ることができるなら
あたしは何だってやる。
初めて出来た、大事な家族だから。









「…分かりました。」









覚悟を決めて彼を見返したあたしの目は、彼にはどのように写っただろうか。









これを歌ったら、彼らはどう思うだろうか。









でももう全部どうでもいい。









あたしに出来る家族はどうせ全部
“偽りの愛”
なんだから。

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設定タグ:BTS , 防弾少年団 , 紅一点   
作品ジャンル:恋愛
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みんぎ ARMY - のあさんの小説、好きです! (2020年5月15日 10時) (レス) id: 0f2332ca0a (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - さゆみさん» ありがとうございます!ぜひ他の作品も読んでもらえると嬉しいです! (2020年3月30日 19時) (レス) id: b3b5882682 (このIDを非表示/違反報告)
さゆみ - とてもいい話で感動してずっと泣いてました! (2020年3月17日 0時) (レス) id: 30b5ba8ba9 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - ロゼさん» ありがとうございます!!!!感激です…! (2020年1月17日 6時) (レス) id: b3b5882682 (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ - 新作も読ませて貰いますw (2020年1月16日 22時) (レス) id: e951c39958 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘塩爺 | 作成日時:2019年12月27日 12時

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