アメフリレインボウー2ー (ページ37)

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#37 pouring ーK.Tーページ37

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Aちゃんに嘘をつき続けるのがつらい。

いつかはバレるであろう本当の事を知ったとき

Aちゃんは俺を軽蔑するかもしれない。

もしかしたら既にされてるのかもしれないけど。

だって

Aちゃんの気を少しでも俺に向かせたくて

あんな強引なことをしたんだから。

苦い記憶の残る夏休みのあの日。

瞳いっぱいに浮かべていた涙が

「ごめん」と言って去っていった後ろ姿が

ずっと脳裏に焼きついて離れない。

気を引くどころか、傷つけて。

それでも次に会った時には

何事も無かったかのように笑ってくれて。

そんな彼女に対して

俺は、ずっとずっと

仮面を被り続けてる。

彼女の為だと思ってやっていたことが

本当に正解なのかと自問しはじめてから

ずるずると答えを引き延ばしてきた。

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──髙橋くんってさ、うちの学校に知り合いいる？

ヒヤッとした。

俺が答えを出すよりも前に

彼女に見つけられてしまったんじゃないかって。

幸い、まだ何も知らないみたいだったけど

そろそろ限界がきたのかもしれないと思った。

ここで答えを出して、仮面を剥ぐべきだと。

だけど、一足遅かった。

そもそも俺は、最初から間違ってたんだ。

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寒さが肌を突き刺す冬の始まり。

目覚めると冷気に満ちた部屋の中。

恋しい布団からやっと抜け出して

学校へ行く準備をしていたところに

かかってきた電話に思わず溢した溜め息は

室内でもはっきりと白く浮かんで溶けていった。

気づかなかったフリをしたくても

これを拒否できる選択肢は俺にはない。

もう一度大きく息を吐いてから

耳元に寄せたスピーカーから聞こえてきた声は

まだワイシャツ一枚しか身に纏っていない俺を

包み込む朝の冷たい空気よりも無慈悲で

鋭く光った氷柱で身を突き刺すような痛みを与える

冷酷なものだった。

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