アメフリレインボウー2ー (ページ36)

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#36 pouring ページ36

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「髙橋くんってさ、うちの学校に知り合いいる？」

閉店後の店内を黙々と箒で掃いていた髙橋くんを

チラリと見遣ってから遠回しに訊いてみた問いに

彼は作業していた手を一瞬ピタリと止めた。

『一応ね』

少し考える素振りを見せたあとに返ってきた答えは

そんな曖昧なものだった。

薄らと浮かべられた笑顔と共に濁されたようで

モヤモヤは増すばかり。

再び手を動かし始めたその背中に

「…彼女、できた？」

今度は違う角度から攻めてみれば

振り返ったその表情からは笑顔が消え

ゆっくりと持ち上げられた瞼から覗いた

大きな瞳に捉えられた。

『何でそんなこと聞くの？』

「いや、その…」

『彼女いないって言ったら付き合ってくれるの？』

「えっ！？」

箒の持ち手のてっぺんに顎をちょこんと乗せて

真面目な顔をして見つめてくる髙橋くん。

彼の考えていることはいつもイマイチ掴めない。

そのまま何も言えずにいれば

ふっ、と口元を緩めて再び背を向けられた。

『冗談だよ』

いつのまにかペースを持っていかれて

結局は何もわからないまま。

ちりとりに吸い込まれていくゴミをぼーっと眺める。

まあ、いっか。

無理に聞き出さなければいけない理由もないし。

私のクラスメイトの彼女とはどんな関係なのか。

そんなふうに直球に問い質してみれば

明確な答えが返ってきたかもしれないのに

この時なぜそうしなかったんだろう。

『よし終わった！早く帰ろ？』

気づけば掃除用具を片づけ終わっていた彼の

いつもと変わらない無邪気な笑顔に

ただコクリと頷いた。

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