アメフリレインボウー2ー (ページ26)

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#26 pouring ページ26

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涼しさを感じていた心地よい風が

秋の深まりと共に冷気を増していくのに

そう時間はかからなかった。

枯葉が散り、落ち葉を踏みしめながら歩く通学路。

校門をくぐったあたりから

妙に周囲からの視線を感じはじめた。

それも、四方八方から

決していいものではない、憎悪を含んだような

とても鋭く刺さるような棘のある視線。

同時に、ヒソヒソと話す仕草と蚊の鳴くような声が

目にも耳にも不快感を与えてくる。

はじめは勘違いかとも思ったそれらが

明らかに自分に向けられているものだと確信してから

嫌な予感がジワジワと身体中を支配していった。

陰鬱な気分に沈んだまま足を踏み入れた教室でも

やはりこちらに集中した視線。その中から一人

隣の席の友達が慌てた様子で駆け寄ってきた。

『A！これ見て！』

目の前に差し向けられたスマホに視線を落とせば

画面に映っていたのは一枚の写真。

パッと見で夜に撮影されたものだとわかるほど

ノイズのかかった暗闇の中で、ただ一点から

放たれる淡い光が浮かび上がらせる二つの影は

他の誰でもない

私と、永瀬くんの姿だった。

「これ…」

『Aだよね？』

正確な日にちはわからない。

そんなことはどうでもいい。

夜の路地裏でノートの貸し借りをしているときの

私たちを誰かに見られ、知られ、写真に撮られ

既に不特定多数の人間に広まっているという事実。

それが何を意味するのか

これから何を引き起こすのか

その時の私には考えたってわからなかったけれど

やがて訪れる未来が

明るく穏やかなものでないことだけは

頭も心も、視界も聴覚をも通じて

嫌というほどに全身が感じ取っていた。

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