アメフリレインボウー2ー (ページ24)

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#24 balmy ページ24

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「他に頼む人いるでしょ？」

素直な疑問をぶつければ

永瀬くんは顔を顰めて口を尖らせた。

『あいつら字汚いし、ノート取るのもヘッタクソ

なんやもん。あれじゃ役に立つもんも立たへんよ』

＂あいつら＂とは

永瀬くんがよく一緒にいる友達だろう。

彼らのノート事情は知らないけど

私も自慢できるような出来栄えではない。

それに、物の貸し借りをしているなんてことが

周囲にバレでもしたら、お互い不都合だ。

今までのことも、なんなら今この瞬間も

同じことが言えるのだけれど。

逆にいえばこれまで上手く切り抜けてきたというか

もしくは私が考えるよりもずっと

実際は不要な警戒なのかもしれない。

だって悪いことをしている訳では無いのだから。

私にとって、永瀬くんは永瀬くんだ。

あくまで他と変わりのない学校のクラスメイトで、

『友達やろ？』

友達。

そっか、そうだ。

永瀬くんは、友達なんだ。

「たいして綺麗なノートじゃないけど」

『黒板の通り書いてくれればじゅうぶんよ』

秋の始まりを知らせる夜の冷たい風に揺られ

木々の葉の間から覗く月明かりの空の下

＂約束＂というには少し大袈裟な成約をして

私たちは手を振りそれぞれの道へと別れた。

この日彼がなぜパン屋に現れたのか

一体私に何の用があって

本当の目的はなんだったのかと首を傾げたのは

家に着いてしばらく経ってからのことだった。

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