アメフリレインボウー2ー (ページ13)

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#13 nimbostratus ーRenーページ13

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「Aちゃん、おったやろ？テレビ局のイベント」

何かを探ろうなんて気も

もちろん責めようなんて気もなかった。

「文化祭の時にもおったバイトのやつと一緒に」

ただ、ありふれた会話を。

＂この前見かけたよ＂そんななんて事のない事実を

俺は彼女に伝えただけのはずだった。

俺を映す潤った瞳から、徐々に色が失われていく。

何か、まずいこと言った？

もしかして知られちゃいけなかった案件？

あそこにいたこと？それともアイツといたこと？

ようわからんけど、俺の言葉に

動揺して声を詰まらせているのは確かで。

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そのとき

彼女の背後にある厨房の奥から声が聞こえた。

「Aー？そっち終わったー？」

よく通る女の子の声。

一緒にシフトに入っているバイト仲間だろう。

姿の見えない足音が段々と近づいてきたとき

ハッと我に返ったように顔を上げた彼女は

突として俺の肩を勢いよくグッと下に押し込めた。

肩骨痛っ…むっちゃ痛いんやけど…

自動的に畳まれた身体を蹲らせたまま

すぐそこで止まった足音の主に気づかれないよう

俺は肩を押さえながらレジ前の床に静かに座り込む。

『もう終わるよ！』

「おっけー。てか今誰かと話してなかった？」

一瞬張り詰めた空気に、俺にまで緊張が走った。

べつに悪いことしてるわけちゃうんやけど。

Aちゃん、どうするんやろ。

『えっ！？いやっ、猫！入口のとこに猫がいたの！』

ふっ。俺は猫か。

商品は買わないくせにフラッと立ち寄るくらいだから

あながち間違ってないかもしらんな。

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そのあと再び店の奥へと戻ったらしい

女の子の気配が消えたのを確認してから

おそるおそる顔を覗かせたレジ台の向こう側。

俺を見下ろすAちゃんは

「もう少しで終わるからちょっと待ってて」と

本当に猫に話しかけるように細い声でそう言うと

今度は俺の背中をグイグイと押して

真夏にしては少し肌寒い夜の外へと

店の扉の隙間からつまみ出した。

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