#find out.44 ーafter Renー ページ44
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『推薦でいこうかなって思ってて
だからそんなにガッツリは勉強してない』
早く決めちゃいたいし、と小さく笑ったAは
またひと口齧ったアイスを飲み込んでから
ごく自然に再び言葉を紡いだ。
『平野くんも専門行くみたいだし』
聞きたくはないけど知りたい気持ちもあった
その名前を耳にして、心臓が少し跳ねる。
あいつ見るからに勉強できなさそうだけど
なんか謎のスーパースキル持ってそうだし
確かに専門とかの方が向いてそうやな。
一人で勝手に納得しながら適当に相槌を打つ俺に
「廉は？」と顔を向けてきたAから
視線を逸らすように目の前のアイスに集中した。
『やっぱりいいとこ狙ってるの？』
「んーまぁそうやな。
とりあえずやるだけやってみるって感じかな」
『そっか。すごいなぁ、廉は』
まるで "自分とは違う" みたいに天を仰ぐ横顔に
すかさず「すごないわ」と返す。
「挑戦するだけなら誰にでもできるからな」
『でも廉はいつも結果残すじゃん。
ちゃんと努力して、一生懸命頑張ってさ』
「さあ、どーやろな」
頑張っても結果が出ないことだってある。
現に俺がいちばん欲しかった��結果��は
目の前に在りながら手に入らなかったんだから。
「あ〜、顔パスできたらええのに！
イケメン推薦枠みたいのないんかな？
そしたら俺よゆーで首席で合格やろ」
『かもね』
「いや、ツッコめや」
ふふっ、と笑いながら最後の一口を頬張って
満足したように木の棒を袋に戻すA。
俺はコーンゾーンに突入したばかりのアイスを
不器用に齧りながら、妙に虚しさを覚える。
これを食べきってしまえば、きっと、もう…
『ねぇ、廉』
どうしたいわけでもない。
だけど何か紡ごうとしていた俺より先に
口を開いたのはAだった。
『廉はさ、ずっとそのままでいてね』
「は？ なんやいきなり」
唐突なセリフに軽く笑ってみせるも
Aはいたって真面目な表情で
だけど優しい笑顔を浮かべて俺を見ていた。
『不器用だけどさ。嘘下手だしナルシストだし
口悪いし距離感バカだしうるさいし意地悪だけどさ』
「ぜんぶ悪口やんけ」
『でも廉は変わらなくていい。絶対そのままがいい』
Aの言いたいことは、たぶん、わかる。
……不器用なのはどっちだよ。
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
