#find out.43 ーafter Renー ページ43
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夏の日は驚くほど長く
もう夕方だというのに真昼のような明るさと暑さが
嫌という程に降り注いでくる青空の下
無性に食べたくなったアイスを買いに
クーラーの効いた恋しい部屋を出て
近くのコンビニへと足を進めていた。
もうすっかり通り慣れた
近道となるいつもの公園を抜けたとき
向かいから小さなビニール袋を片手にぶら下げて
足早に歩いてくるその姿を見つけて
俺は思わず立ち止まった。
『あ、廉！』
目の前でパッと華やぐ表情に
心は飽きることなく何度だってときめく。
「おう。コンビニ？」
『うん！アイス食べたくなっちゃって』
持っていた袋をひょいっと持ち上げて
少し照れたように笑う君と
自分の考えていたことが同じなんだと思うと嬉しくて
「俺も！ちょうど今買いに行こうと思ってたとこ」
『あっついもんねぇ。……あ、これ食べる？』
彼女が示した袋の中に透けて見えるのは
なにやら種類の違う二つのアイス。
『海人の分もと思って買ったんだけど…
これ！廉が好きなやつだよね？』
ガサゴソと袋から取り出したその手の中にあったのは
確かに俺がいつも食べているものだった。
「でもそれ弟のなんやろ？」
『いいのいいの。どーせ海人昼寝してたし』
「もう夕方やぞ」
正直この暑さの中を歩く手間が省ける上
アイスを食べるという目的が果たせるなら
俺にとってはめちゃめちゃ好都合やし
Aの厚意を有難く受け入れることした。
早くしないと溶けちゃうから、と
すぐ後ろの公園に引き返して
木陰のベンチに二人並んで腰掛ける。
こんなオプションまでついてくるんか。
なんや今日はついとるかもしらん。
陰に覆われても漂う熱気だけが鬱陶しいけど。
果物の塊みたいな棒アイスを口に運ぶAに続いて
ゴールドが光るプラ包装のコーンアイスを開封して
ひと口齧ると、甘さと冷たさが口いっぱいに広がる。
「最近どうなん？」
『ん？』
「いや…ほら、勉強とかさ。進路決まったん？」
容赦なくアイスを溶かしていく太陽に負けじと
必死に舌ですくい取りながらそんな問いを投げれば
Aは棒をクルクルと回して
手の中の塊を見つめながら、うーん、と唸った。
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
