#find out.42 ページ42
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『なに？もしかして見惚れてた？』
「へっ！？」
あまりに核心をついてきた言葉に
なんだか否定すらできなくて素直にコクリと頷くと
なぜか平野くんの方が照れたように笑った。
『冗談で言ったのに！
そんな素直に肯定されると恥ずかしいんだけど』
私の方が恥ずかしさでどうにかなりそうなのに
本気で照れてる平野くんを見ると
それさえも愛しくて、また��好き��が溢れてくる。
「ごめんごめん。あ、ほら！見て！」
込み上げる熱をかき消すように
突如激しい爆裂音と共に鮮烈な輝きを放った
カラフルなスターマインを指さしてみせる。
胸が弾けるみたいに大きな音を立てて
空に向かって色鮮やかに放たれていく光を
全身に浴びながら目に焼き付けていた
そのとき
不意に視界が遮られて
ほんの一瞬だけ唇に触れた熱。
え…………？
何が起こったかもわからないまま
再び目の前に広がった眩しすぎるほどの光は
放心状態の私を妙にクラクラさせた。
『ごめん。嫌だった？』
心配そうに覗き込んでくるその顔の近さに
過剰に反応して全身の体温が上がってくのがわかる。
「いや……じゃない……けど……」
紅く染まっているであろう頬の色は
きっとカラフルな夜空が隠してくれているけれど
空に咲き続ける花火を視界の隅に置いて
ただ俯くことしかできない私に
平野くんの小さな笑い声が降ってきた。
『Aちゃん』
「はいっ」
解かれない緊張から出てしまった変な返事に
平野くんがまたクスッと笑う。
そしてその優しい微笑みを浮かべたまま
ゆっくりと視線を重ね合わせた。
『好きだよ』
たくさんの雑音の中で確かに届いた
胸を震わせるこの音も
私を映し出す真っ直ぐで綺麗な瞳も
その表情も、この感情も
私は決して忘れることはないだろう。
波打つ鼓動も、身体中を駆け巡る熱も
今ここに流れる空気さえも
全部全部、胸の中に大切にしまって
いつでもすぐに取り出せるように。
決して消えはしない、誰にも奪うこともできない
君からもらった言葉や想いを
大事に、大事に受け止めて
私たちを照らす果てなく広がる夜空の下で
再びそっと落とされた
温かくて柔らかくて優しいキスに
彼とのこの先の明るい未来を思い描きながら
ゆっくりと瞳を閉じた。
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
