#find out.41 ページ41
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とは言っても
やはり抜け切らない部分はあるらしく
『ほら、ねーちゃん行くよ〜』
会場まで1人じゃ危ないから、と
私に拒否権を与えないまま現地まで送ってくれた上
平野くんと合流するなり去り際に
「門限22時だからね！」と念を押してきた。
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たくさんの人で賑わう河川敷。
去年と同じ場所。同じ夏の夜。
同じようにたくさんの屋台の並ぶ道を歩きながら
他愛もない会話をする。
「神宮寺ムダにヨーヨー釣り上手かったよね」
『みんなでかき氷食べて舌の色見せ合ったよね』
「平野くんはずっとりんご飴食べてた気がする」
見覚えのあるものを見つけては
平野くんと目を合わせて笑いあって
蘇ってくる思い出と共に
楽しい時間が過ぎていくのはあっという間だった。
まだ暑さの残る空気に漂う
頬を撫でる風は心地よくて
気づけば薄暗くなっていた夜空を見上げれば
『もう始まるね』
優しく手を引かれ、人混みから少し外れた
土手の方へと移動して適当な場所に腰を下ろす。
この感覚も覚えてる。
すべてがあの時と同じようで
隣にいる人も同じはずなのに
目に映る景色は、あの時とは全く違うものにみえた。
どっと沸いた歓声と共に空に打ち上げられた花火。
次々と咲いては消えていく光の花はやっぱり綺麗で
この景色をずっと見ていたいと思った。
『なんか不思議な感じ』
ふとそんな言葉をこぼした平野くんを見上げる。
『Aちゃんとまた一緒に花火見られるなんて
あのときは思ってもなかったからさ』
平野くんの言う��あのとき��は
きっと私がさっき考えていたものと同じ��時��で
「うん…嬉しい。またこうやって一緒に見れて」
『俺も。……めっちゃ綺麗だね』
そんな些細なことで、言葉一つで
想いが重なっているように思えて嬉しかった。
一度花火の方へと戻した視線を
気づかれないように再びちらっと平野くんに向ければ
空一面に広がる色とりどりの光を
濁りのない澄んだ瞳に映し出すその横顔は
夜闇の中でも眩しく輝いてあまりにも綺麗で
思わず見惚れてしまっていた。
『ん？』
視線に気づいたらしく振り返った平野くんから
慌てて目線を逸らして空を見上げる。
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
