#find out.5 ページ5
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あれから3日が過ぎた。
平野くんの病室には毎日通っているものの
彼の意識は戻らないままだった。
そして、てっきり廉は忙しいながらも
部活終わりの夜の時間に少しくらい
会いに来てくれるものだと思っていたけれど
あのあと廉から返ってきたメッセージは
廉といえば廉らしい、だけどそれは
なんだか切なく胸を突くような、たった一文だった。
廉よかった。日曜の午後あけといて
あの日会えなかった分の埋め合わせだろうか
廉にとって一週間の中で唯一の休みであるその時間を
自分に割いてくれることに胸が痛んだ。
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日曜の昼下がり。
駅前の賑わう噴水広場のベンチに腰掛けて
空に向かって勢いよく伸びる水飛沫を眺めていた。
いつもなら廉と出かけるときは
待ち合わせなんてしなくても
決められた時間に家を出ればすぐに合流できるし
どちらかが早くても遅くても
早く出た方が遅い方の家の前で待って
そこから一緒に出かけるのがあたりまえだった。
だけど今日はなぜか廉の提案で
わざわざ駅で待ち合わせをすることになっていた。
約束の時間よりもわざと早く着いたのは
気持ちに余裕がなかったから。
廉と顔を合わせる前に心の準備をしておきたかった。
廉に話したいことがある。
話さなければいけないことがある。
それなのに
この日が訪れることを恐れている自分もいた。
これ以上、廉を傷つけるようなことを
私は本当に言えるのだろうか。
もしかしたら今度こそもう元には戻れない
あたりまえにずっと隣にいた廉がいなくなってしまう
廉と築いてきた関係が崩れ去ってしまうかもしれない
それでも私は、廉にこの気持ちを
正直に告げることができるんだろうか。
この数日間ずっと
そんな思いと葛藤しながら過ごしてきた。
そしてその日が訪れて
廉を待っている今この瞬間も
それは変わらないままだった。
それでも時間は待ってはくれない。
踊るように噴き出す水がキラキラと光を浴びては
また鎮まってを繰り返す目の前の噴水が
何度放り上げられ水滴に散って落ちていっただろう。
ちょうど約束の時間を回ろうとしていた頃
ふと視界の隅に映った一際目立つ存在に目を向けると
前髪を指先で器用に弾きながら近づいてきた廉が
私に気づいて左手を軽く上げると
僅かに片方の口角を上げて微笑んだ。
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
