#find out.39 ページ39
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二人に背を向けて
平野くんと歩き出そうとしたそのとき
『あ！いたいた！』
正面から大きな声をあげながら近づいてくる
どこか見覚えのある制服姿。
その彼の視線は私たちの後ろにいる
廉と玄樹くんに向けられているようで
待ち合わせをしていた友達なのか
彼は勢いよく横を通り過ぎていくと
二人の前で立ち止まった。
『セーフ！！！』
『いや、アウト』
『嘘でしょ！？ぜってー間に合ってんじゃん！』
なにやら話している三人の声を聞きながら
平野くんの「行こっか」という言葉に
頷きかけたとき、不意に脳裏を過ぎったもの。
思わずもう一度振り返り、その後ろ姿を見つめる。
『なんでまた俺の奢りなんだよ！もう貧困だよ！』
……あれ？
この声、やっぱり聞いたことある。
「Aちゃん？どうしたの？」
平野くんの声を頭の片隅で感じながら
必死に手繰り寄せた記憶の中
その答えを見つけたのと同時に
私の視線を感じたのか
こちらに振り返った彼は「あ！」っと叫ぶと
大きな目と開いた口を丸くして
私と平野くんを交互に見つめていた。
『えっ、あのときのっすよね！？』
驚いたように口に大きな手をあてながら
ゆっくりと近づいてきた見覚えのある顔に
私も驚きを隠すことができなかった。
『無事だったんすね！！よかったあ』
──救急車呼んだんで！もう少し頑張ってください！
そう、あのときと同じ、少し高めの通る声。
あの事故の日、
痛みに耐えながら目を開けたとき
私の傍で必死に声をかけてくれていた人。
『なに？岸くんとA知り合いなん？』
「知り合いっていうか………命の恩人？」
ああ、やっぱり世界って狭いな。
それとも、この世界には
とてつもない奇跡が溢れているのかな。
私の知らない世界は
きっとまだまだたくさんあって
一生かけても出逢うことのない人達が
きっと数えきれないくらいいるはずなのに
小さな点と点が繋がって
今、こんなにも大切な人達が
こんなにも近くにいるんだから。
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
