#find out.36 ページ36
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平野くんが退院してから数日が経った
ある日の放課後。
夕方の帰宅ラッシュというやつなのだろうか
制服姿の学生やOL、サラリーマンらしき人達で
溢れかえる駅の出入口は、妙な熱気が漂っていた。
「そろそろ来ると思うんだけど…」
手の中のスマホの画面と
改札を通り抜ける人の群れを見比べながら
意味を成さない背伸びを繰り返してその姿を探す。
��会ってほしい人がいる��
それだけ伝えて、半ば強引に手を引かれてきた
平野くんは「誰？なに？」を繰り返しながら
大きな瞳に戸惑いの色を見せていた。
次々と流れてくる人の中に見えた
一際目を引く存在に思わず「あっ」と声を上げた時
隣でビクッと体を大きく跳ねさせた平野くん。
相変わらずのリアクションに
クスッと笑いながら再び前に顔を向ければ
こちらに気づいたらしい二つの顔が
揃って手を振りながら改札を抜けてきた。
『ごめん、ちょい遅なったわ』
今日も細い指で軽く前髪をかき分けながら
ランウェイでも歩いてるかのような
オーラを放っている廉の隣には
『Aちゃん久しぶり！』
廉とはまた違ったオーラを纏って
絵文字みたいな綺麗なタレ目を作りながら
優しい微笑みを浮かべる透明感MAXの美青年。
だけどいつもと少し違って見えるのは
その制服姿を見るのが初めてだからだろうか。
どこからどうみても男子高校生。
それはそれで男らしさが増し増しで
言ってしまえばシンプルにかっこいい。
『会う度に玄樹に見惚れんなや』
「はっ！えっ、いや、べつにそんなんじゃ…」
呆れたように顔を顰める廉に
慌てて平野くんの方をちらっと見ると
訳が分からないといったように
目をまん丸にしながら私達三人を見比べていた。
──今度その人に会わせてよ！
いつか玄樹くんに頼まれたお願いごと。
でも今となっては、どちらかというと
私が平野くんに玄樹くんを会わせたかった。
彼の心の奥につっかえているものが
抱えている重りが、少しでも軽くなるように
少しでも平野くんの
……大好きな人の力になりたくて。
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
