#find out.35 ページ35
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少しの沈黙のあと
神宮寺はニヤリといたずらな笑みを浮かべた。
『なに、転校でもするの？』
「へっ！？しないよ」
『なんだよいきなり改まって』
ただ言いたくなった、伝えたいと思った、
それだけじゃ変だと思われるだろうか。
でも、そうなんだから仕方ない。
そんなことを考えていると
ふっ、と笑いながら俯いた神宮寺は
薄暗い空の下でも映える白い歯を覗かせて
いつものアイドルスマイルを向けてきた。
『いいよ。友達だろ？』
あれ、
今日は��国民的彼氏だから��って言わないんだ。
なんだか少し大人びてみえた横顔を残して
前に向き直ってゆっくりと歩き出した
その背中を慌てて追いかける。
──友達だろ？
「友達、か」
私にとって神宮寺はどんな存在かと聞かれれば
そんなこと今まで考えたこともなくて
だけど考えずとも��友達��という関係であることに
なんの間違いもないはずなのに
神宮寺の口から紡がれたその言葉に
心の奥底でほんの少しの違和感を持ったのは
気のせいだろうか。
『なんか言った？』
「えっ？ ううん、なんでもない」
見えそうで見えない何か。 だけどもし
心がその��何か��に気づいてしまったとしても
私はきっとこの先の未来を信じて
今はただ前を向いて歩いていくことが
自分の進むべき道だなんて
ちょっとクサイけれど
そんな強い確信を胸に抱いて
神宮寺の隣に肩を並べた。
『あー腹減った！Aは？』
問いかけられた声に
反射的にお腹にあてた手を軽くさすりながら
そういえばもうそんな時間だったっけ、と
思い始めてしまえば急に訪れる空腹。
「すいた！」
『よし、じゃあなんか食べるか！』
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少し先の立ち寄ったコンビニで
あたりまえのように二人分のお会計を済ました
神宮寺にお礼を言って
お店の前のベンチに腰を下ろす。
チョコレートを何個か口に放り込んだあと
ふと見上げた空には
月の光がぼんやりと浮かび上がっていた。
『お腹すいたって言っといてそれだけ？』
私の手元をチラッと見遣ってから
何やらガサゴソと袋の中を物色したあと
スっと横から伸びてきた手から受け取った
半分に分けられた肉まんは
夜の空気に触れたからか
思っていたよりも心地のよい温かさだった。
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
