#find out.31 ーShoー ページ31
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��好きだよ、平野くん��
その瞳にキラリと光を宿しながら
まっすぐに向けられた強い眼差しに
射抜かれるように胸の奥まで響き渡った言葉。
頭の中が空っぽになったみたいに
思考は止まったまま
なぜだか逸らすことのできない視線に
ただ目の前の彼女を見つめていた。
「えっ…と……」
やっと絞り出した声にならない声は
自分の心の奥で渦巻く戸惑いの色を隠せないまま
消え入るように空気に落ちていく。
だけど
『私は、いなくならないよ』
再び降りてきた力強く優しい声。
未だ理解が追いつかないまま
それでもどうしてか、その音は胸を熱くしていく。
『平野くんを1人になんてしない』
まるで何かの話の続きでもしているかのように
彼女の口から次々と紡ぎ出される言葉の数々は
俺にとってはすべてが突然で
不思議な気持ちを抱きながらも
その言葉たちは優しく心にスっと入り込んでくる。
それでも把握しきれない状況に助けを乞うように
彼女の少し後ろで静かに佇むジンに視線を移せば
目が合ったジンは、ドヤ顔にも似た苦笑いを
浮かべながら目を細めて小さく頷いた。
その表情の真理の全てまではわからなかったけど
俺が眠っていた間に何があったのか
その顔を見ればなんとなく察しがついた。
俺が言葉にしてこなかった想いたちが
きっとAちゃんの元へと運ばれて
今、必死で気持ちを伝え続けてくれている
Aちゃんの想いが
ずっと縛られていた胸の内を溶かしていく。
『平野くんが離れようとしたって
もう絶対離れたりなんかしないんだから』
きっとたくさん傷つけてきたはずなのに
本当の気持ちを言えないまま
背を向け続けてきた俺を
こんなにも真っ直ぐに瞳に映してくれている。
ずっと光を差し込もうとしてくれていた
ずっと手を伸ばし続けてくれていた
その手を掴まずに俺がここから逃げる理由は
もうどこにもなかった。
進む先に何があるのかはまだわからないけど
君が隣にいてくれるなら
どこへ行ったって大丈夫だと思えたんだ。
光の中へ出ても
ぎゅっと握りしめて
今度は絶対その手を離しはしないから。
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7日目の蝉(プロフ) - lemon09さん» lemon09さんコメントありがとうございます！めちゃくちゃ嬉しいです…！そう言ってくださる方がいて本当によかったです。読んでくださってありがとうございました！ (2020年12月10日 22時) (
レス) id: 8841233121 (このIDを非表示/違反報告)
lemon09(プロフ) - 急に終わってしまって寂しくなっちゃいました（笑）でも面白かったです、お疲れ様でした。 (2020年12月9日 4時) (レス) id: 2975f730a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：N | 作成日時：2020年3月12日 1時
