喧嘩 ページ46
赤side
その言葉で俺は単純に傷ついてしまった。
わかってはいたけど、どうしてもきつくて。
その後の話は全く入ってこなくて、気づいたら妹さんは手を振って彼氏と人混みに消えていた。
緑｢ん、帰ろ......しげ？｣
｢ただの部下、なんやね｣
思わず智洋さんが困るような言葉を投げかけてしまう。
緑｢いや、それは.....別に嘘やないし｣
｢......俺の気持ちわかっとるくせに｣
こんなこと言ったってどうにもならんのに、口は止まってくれない。
緑｢は.....？わからんよ。何も言われてへんもん。｣
ちゃう。ちゃうねん。喧嘩したいわけやなくて。
｢言ったところで智洋さんは突き放すやないですか｣
緑｢っ、んなことわからんやん。勝手に決めつけ.....｣
｢わかるんや！！！｣
気づいたら周りのことなんて気にせず叫んでしまっていた。
｢見てもうてん。智洋さんが他の人を振るところ。｣
緑｢え......｣
｢男同士やから。会社が同じやから。そんなん俺やって無理やん。どうしようもないやん。｣
言いながら涙が滲んでくる。
ずっとずっと心の隅で思っていたことなんやろう。
考えなくても言葉が溢れてきてしまう。
｢それでも近づけとると思ってた。他の奴より近い存在で、あわよくばなんて考えとった。それでも俺はただの部下なん？｣
緑｢......っ、ちが、｣
｢神ちゃんさんなんて呼んどる奴と、同じなんやろ｣
こんなこと、言いたくないのに。
緑｢あいつを悪く言うのは違うやろ｣
ほら、智洋さん怒らせてもうた。
緑｢っ、他人の告白聞くなんて趣味悪いな｣
そう言って彼は歩き出す。
俺はその後ろ姿を、ただ見つめることしかできなかった。
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作者名：もちもち子 | 作成日時：2020年7月5日 22時
