#48 飛び切り笑顔の理由は ページ48
けどこれは、紛れもなく私の人生で…しかも、夢じゃなくて。
簡単には信じられない。
だって、男の人と何かあるなんて、一生あり得ないだろうなぁ…って。ついこの間まで思っていたから。
「そうだったんですか？…あ、荷物ありがとうございます」
「でも、楽しかったか。そっかぁ。よかったよおれ。ほんまによかった」
目をギュッて瞑って、“んー！”なんて声が飛び出してきそうなくらいの飛び切り笑顔。
こんな笑顔の理由が私なんだって思ったら、ふわふわしてぐるぐるして、変になりそう。
「あ、何食べる？」
「じゃあ…パスタとか」
「パスタね。この辺かな」
彼がメニューをこちらに向けたままパラパラとめくって、パスタのページが両面にバンと出る。
…この人、きっと何やかんやで面倒見がいいんだ。
3人でいる時もお兄さん係だし、もしかして本当に下の兄弟とかいるのかな。
「あのさ。何で引っ越してきたん？」
注文を済ませた後、彼は腕の裾を捲りながらそう言った。
特に何の深い意味もなく、そして詮索でもなく、何気ない質問なんだろう。
「あー…私の両親、夫婦でデザイン系の事務所やってて…それでこの前、海外のおっきい案件が降ってきて。二度とはないチャンスだからって、2人揃って海外の方に」
別に、私も一緒について行っても良かったんだけど。
日本語ですらまともに会話ができないのに、フランスで人間と意思疎通できる気がしなかったから辞めといた。
「あーね。そんで一人暮らし始めるかーってなって、新しく住むとこ探したってとこか」
「はい。元々住んでたマンションは、一人暮らしには広すぎたから」
「広いと家賃も高なるもんね、普通に」
2人の間に、“お待たせしました”の声が割り入る。
選んだパスタはトマトソースだ。
永瀬くんはハンバーグにしたらしい。
「…いただきます」
「んで？学校も変えたのは何でなん？」
パスタを巻き始めた手が、不意に止まった。
なん……て言ったら、いいんだろう。
というか、何で学校まで変えたんだっけ。
「…あ、悪い。言いたくなかったら、言わんでええよ」
「いや、別に。いじめられてたとか、そういう大した理由じゃないんです。ただなんか…いづらくて。肩身狭いって言うか…ちょっと、雰囲気が合わなくなったっていうか」
口から気持ち悪いくらいにスラスラと出てきたのは、それっぽい理由。
それっぽい…というか、実際にそうなのだ。きっと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2258人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もちこ(プロフ) - yimmさん» はじめまして！コメントありがとうございます。お楽しみ頂いているようで何よりです…！ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月25日 17時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - もちこさん、はじめまして☆お話楽しく読ませていただいてます。この後の展開を妄想するとなんかだかドキドキ(笑)更新頑張ってください。 (2020年10月25日 7時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます。主人公可愛く書けててよかったです…！これからも是非色んな想像をしながらお楽しみいただけると嬉しいです、よろしくお願いします！！ (2020年10月23日 17時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 欲しいスタンプ俺が買ったるって何語ですか…？永瀬さんの妹になって買って貰いたい！それからなんですか！主人公ちゃんの可愛さ！！永瀬の妹って立場利用して主人公ちゃんと付き合いたい！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとっても嬉しいです。ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月20日 22時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もちこ | 作成日時：2020年10月13日 19時
