#45 お待ちかねのお菓子タイム ページ45
自ら荒波へと突っ込んでいた助け舟を前に、代わりに出動した舟がもう一艘。
そう、まさに、海の人。
「あでも、俺分かるよ。俺んちペットいっぱい飼ってんだけど、なんか犬とかと喋っちゃう時ある」
「あ…！ありますよね、やっぱり」
「あるある。なんかつい喋っちゃうんだよねー」
…私の場合は、海人くんのそれよりも恐らく大分湿っぽくて独りよがりなものに過ぎないんだろうけど。
すかさず同調してくれて、助かった。
その陰湿っぽさが、少しでもバレずに済んだだろうから。
そして彼は、ついにお菓子の箱に手を伸ばしてガサガサしている。
さっきからチラチラとお菓子ばかり見ていたし、甘いもの好きらしいし。
よっぽど気になってたんだろうな。
「わ！見てめっちゃうまそう」
「おいこら、勝手に開けんな」
…中身は、初めて見た。
ずらっと並んだ可愛い焼き菓子たち。
不本意ながらに、なんか女子力が高い。
「すげぇ、みんな可愛いんだけど」
「Aちゃん、俺ら食べちゃっていいの？これ」
…あ。平野くんに初めて、名前を呼ばれた。
なんか、普通のことってのは分かってるんだけど。
どうしても慣れない。やっぱちょっと、不思議な感じ。
「あ…どぞ」
「やったー！いただきまぁす」
海人くんの喜びの一声と同時に、3方向から一気に手が伸びてくる。
おぉ…これは永瀬くんが言った通り、期待大。
賞味期限を間近に迎えて絶望していたであろうこのお菓子も、一筋の光を見出したはずだ。
「そんでさぁ俺、角田にまぁた漫画取られてさ」
「角田先生てのは、数学のおっちゃんな。ハゲ頭の」
「その後関ティーに職員室まで呼び出されて。マジ散々だったわ」
「関ティーてのは、Aちゃんとこの担任の関口先生」
その後永瀬くんは、会話に出てくる“専門用語”を逐一私にコソコソと教えてくれた。
他にも“ヤスくん”が3人と仲のいい友達だったり、“マダム”ってのが食堂で1番威勢のいいおばちゃんのあだ名だったり。
いつもの話し声よりは小さいけれど、さっきの囁き声よりは大きな声。
彼の高くて柔らかい声は、やっぱり好きだ。
「うわ、待って？もうこんな時間なん」
会話の途中でハッと腕時計を見た永瀬くんは、容赦なく遮ってそう言った。
気づけば、もうすっかり外は暗い。
お菓子を入れたはずのお腹も空いてきて、夕飯が食べたくなるような時間帯になっていた。
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もちこ(プロフ) - yimmさん» はじめまして！コメントありがとうございます。お楽しみ頂いているようで何よりです…！ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月25日 17時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - もちこさん、はじめまして☆お話楽しく読ませていただいてます。この後の展開を妄想するとなんかだかドキドキ(笑)更新頑張ってください。 (2020年10月25日 7時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます。主人公可愛く書けててよかったです…！これからも是非色んな想像をしながらお楽しみいただけると嬉しいです、よろしくお願いします！！ (2020年10月23日 17時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 欲しいスタンプ俺が買ったるって何語ですか…？永瀬さんの妹になって買って貰いたい！それからなんですか！主人公ちゃんの可愛さ！！永瀬の妹って立場利用して主人公ちゃんと付き合いたい！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとっても嬉しいです。ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月20日 22時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちこ | 作成日時：2020年10月13日 19時
