#2 窓際の春風 ページ2
ふわ、とセットされた、焦げ茶の髪の毛。
スッとした鼻立ち、くっきり二重幅、整った輪郭。
どこからか舞い降りてきた桜の花びらが、その綺麗な顔を横切った。
紺のカーディガンを萌え袖にして、組んだ腕の中に顎だけうずめて。
まるで春風が連れてきたみたいに音もなく、その人はそこに居た。
「あ……いや、えと」
「ひとり？」
「…………」
言葉に詰まる。
こんなとこで1人でお昼食べてるなんて知られたら、きっと変なヤツだって思われる。
それが事実だけど。人にどう思われようが、別に何でもいいんだけど。
けどなんか…私だって、最低限の世間体ってのは気にしちゃうわけで。
ぐるぐると難しい考えが渦巻いて、やっと鳴ったのは喉の音。
ゴクン、と相変わらず味のない梅干しを飲み込むので、精一杯だった。
「今日、気持ちええもんな」
ははは、と笑って蹴伸びしながら、彼は言った。
何が面白いのか分からないけど、なんかちょっと救われた、かも。
「昨日もそこで食べてたやろ。コジロー、だっけ？あの猫」
「こっ…コタロー…！」
思わず訂正を入れたところで、色んな羞恥が私を襲う。
見られてた？1人でおにぎり両手にうずくまってるとこ。
ふらりと現れたネコに、たくさん話しかけてるとこ。
ぼぼぼ、と頬が熱くなったのを感じて、慌ててその人から顔を逸らす。
「どしたん。そっぽ向かんでよ」
「どっ……どうして、そんな。私なんかに…」
「え？だって君________」
「廉、ごめん！思ったより時間掛かった」
彼の声を遮ったのは、同じ窓の向こうから聞こえてきたハスキーボイス。
この声、何となく聞いたことがあるような気がする。
「おい紫耀、どんだけ待たせてんねん」
「ごめんって…あれ海人は？」
「先行った。ったく、俺様の優しさに感謝しろよ」
…あぁ、思い出した。
新学期早々廊下でふざけて、わはは、って大笑いしてた人だ。
私とはまるで正反対。
例えば私が黒だとしたら、あの人は白どころじゃなくて、多分虹色。
「あ。待って、忘れもん」
「忘れ物？」
やっとこのザワザワした気持ちから解放される…と思って、ホッとしてたのに。
れん…って人がまた、窓から顔を出して手を伸ばした。
「じゃまたね」
ポンポン、と左肩を叩かれて反射的に顔を上げたら、目の前でブンブンと振られてる彼の掌。
まさかまた私に話しかけてくるとは思ってもいなかったから、びっくりして体が跳ねた。
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もちこ(プロフ) - yimmさん» はじめまして！コメントありがとうございます。お楽しみ頂いているようで何よりです…！ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月25日 17時) (
レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
yimm(プロフ) - もちこさん、はじめまして☆お話楽しく読ませていただいてます。この後の展開を妄想するとなんかだかドキドキ(笑)更新頑張ってください。 (2020年10月25日 7時) (レス) id: 72bd3737bf (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - しおりさん» コメントありがとうございます。主人公可愛く書けててよかったです…！これからも是非色んな想像をしながらお楽しみいただけると嬉しいです、よろしくお願いします！！ (2020年10月23日 17時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - 欲しいスタンプ俺が買ったるって何語ですか…？永瀬さんの妹になって買って貰いたい！それからなんですか！主人公ちゃんの可愛さ！！永瀬の妹って立場利用して主人公ちゃんと付き合いたい！ (2020年10月22日 21時) (レス) id: 199b427b1e (このIDを非表示/違反報告)
もちこ(プロフ) - mさん» コメントありがとうございます！そう言って頂けてとっても嬉しいです。ご期待に添えるようこれからも更新頑張ります！ (2020年10月20日 22時) (レス) id: 03d75cb96c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちこ | 作成日時：2020年10月13日 19時
