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「なあ森。昨日の秀吉の話どう思う?」
「ただのはったりじゃ。あいつが喧嘩強いなんて話聞いた事ねえ。」
次の日の朝、教室を覗くと豊臣くんの話でザワザワしていた。惑わせることには成功したようだ。豊臣くんも満足気な顔をしている。
「今日はあいつらを更にびびらしたるわ。」
彼は「俺の実力見せつける。」と言って教室の中に入っていく。それと同時に黒板に映像が映し出された。公認旗印が出たらしい。
「旗印提出は、特進クラスの豊臣秀吉くん。」
自慢げにポーズをキメる豊臣くんに周りは出来るわけないとからかう。彼が指名したのは酒井くんと榊原くん。
「地べたにキッスさせたるわ。」
しかも対戦内容は茶かぶき。酒井くんと榊原くんは検討も付かない様だが、豊臣くんは京都通圓の宇治茶だと言い当てて見せた。しかも見事な所作だった。得意なもので挑むのは卑怯だと言う2人にそれでも勝利は勝利だと煽る豊臣くん。
「続いての旗印戦ですが、掲げたのは再び秀吉くん。」
今度は将棋対決だった。こちらも圧勝。
「参りました。」
「もっと頭下げんかい。地べたにキスするよう〜に。ん〜まっ!」
煽るねえ。教室の反応は豊臣くんに拍手を送る者怒りを募らせる者、様々だった。旗印戦終わりの豊臣くんと話していると井伊くんが彼に文句を言いに来た。こんな卑怯なやつ初めてだ、と。
「卑怯で結構。勝てばかーんぐん。」
言われた本人はこう言っているが本当の所はどうなんだろうか。結構刺さっている気がする。と言っても彼への対応を変える気はないが。事が起こったのはその次の日だ。この日公認旗印を出しのは豊臣秀吉ではなく、加藤清正。
「加藤くんが出した旗印はこちらです。」
"3時間以内に豊臣秀吉をケンカで倒す。"
動揺した豊臣くん、みやびちゃんと顔を合わせる。
「加藤信じなかったんだな、秀吉が強いって話。」
「秀吉が強いか弱いかなんて関係ないくさ。」
そして加藤くんが出した旗印と同じものが56本も出されているという。また誰かが仕組んだものだと思うが、井伊くんは否定していた。だとしたら誰が……。
「たったの56本でゴミ共はここまで騒ぐか。まあ、56も205も変わらんがな。」
徳川くんが武田くんを見ながらそう言うと教室から出て行った。こちらもそう遠くないうちに何か始まりそうだ。この戦を豊臣くんはどう切り抜けるのだろう、私の頭の中は心配と好奇心が渦巻いていた。
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もちゃ(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます。こだわってるところ褒めていただけて光栄です。楽しみにしてくださってることも嬉しいです、ありがとうございます。 (2022年9月9日 3時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます。お返事遅くなってしまい申し訳ございません。好きと言っていただけて嬉しいです。応援もありがとうございます、頑張ります。 (2022年9月9日 3時) (レス) @page22 id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
みー - このお話の2人の距離感が私も好きです!これからも楽しみにしています! (2022年9月5日 10時) (レス) id: ef372782cb (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 面白くて好きです!更新頑張ってください! (2022年8月16日 23時) (レス) @page19 id: 2a8d4606f0 (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - moka、さん» コメントありがとうございます。試行錯誤しながらですが最初のうちは近すぎず遠すぎずを目指しているのでそんな2人の距離感を好きって言ってもらえて嬉しいです。感想、お気遣い、ありがとうございます。 (2022年8月11日 2時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちゃ | 作成日時:2022年7月29日 15時