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「ん、我ながら上手くできた。みやびちゃん食べる?」
「良いのですか?いただきます。」

私たちは今調理実習で玉子焼きを作っている。小さい頃から母親の手伝いをしていたこともあり料理の腕前は人並みだと思っている。

「美味しいです!」
「良かったあ。」

2人で和気あいあいとしていると隣の伊達くんが伊達巻を作っていた。……ダジャレ?と言いたかったが、小さい頃から好きだったと言っていたので口を噤んだ。

「Aちゃ〜ん、みやびちゃ〜ん!これ、食べてみて?」

そう言ってやってきたのは後ろの班の豊臣くん。2人で彼が手に持つ玉子焼きを食べてみると程よい甘さが口に広がり美味しかった。

「俺が作ったんやで。隠し味はラブ、大さじ5杯分。」

豊臣くんは片手でハートを作って自慢げに言うが、後ろから「それは僕が……」とかすかに明智くんの声が聞こえたのではったりなのだろう。

「秀吉くんがお料理が上手なんて意外でした。」
「俺と結ばれたら、これエブリデイやで。……なんてねっ!」

嫌な予感はするが楽しそうだから良いか、と思ってしまう私は彼に甘いのかもしれない。この光景をあわあわと見つめる明智くんと困ったように笑い合う頬に誰かの手が添えられた。顔の向きを変えられ私の瞳は豊臣くんを捉える。

「今度はお家デートしような?」
「朝昼晩作ってくれる?」
「もちろんやで、それも愛情たっぷりの。」

視線を逸らさすことなくやり取りを続ける2人に目を丸くするみやび。豊臣くんの調子に乗ってみただけなのだが、勘違いされてるかもしれないなあ。

「うーん、やっぱりやめておく。」

そう彼の手の甲に自分のそれを重ね頬から離す。しかし手は離されることなくすかさず絡められた。恋人繋ぎというやつだ。

「え〜、俺とAちゃんの仲やんかあ。」
「そそそそ、そうなんですか!?」
「違うよみやびちゃ」

みやびちゃんの勘違いを即座に否定しようとしたが、その声を遮り彼女は「良いと思います!」と今度は元気な声をあげた。

「なんで!?」
「側室ですし自然な流れですが展開が早くて驚いてしまいました……。」

みやびちゃんはいつものように一人でぶつぶつ何か言っているが意味は理解できなかった。それよりも目の前でニコニコしながら満足気にこちらを見つめるこの男を誰かどうにかしてほしい。

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もちゃ(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます。こだわってるところ褒めていただけて光栄です。楽しみにしてくださってることも嬉しいです、ありがとうございます。 (2022年9月9日 3時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます。お返事遅くなってしまい申し訳ございません。好きと言っていただけて嬉しいです。応援もありがとうございます、頑張ります。 (2022年9月9日 3時) (レス) @page22 id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
みー - このお話の2人の距離感が私も好きです!これからも楽しみにしています! (2022年9月5日 10時) (レス) id: ef372782cb (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 面白くて好きです!更新頑張ってください! (2022年8月16日 23時) (レス) @page19 id: 2a8d4606f0 (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - moka、さん» コメントありがとうございます。試行錯誤しながらですが最初のうちは近すぎず遠すぎずを目指しているのでそんな2人の距離感を好きって言ってもらえて嬉しいです。感想、お気遣い、ありがとうございます。 (2022年8月11日 2時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちゃ | 作成日時:2022年7月29日 15時

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