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開戦の合図が鳴ったあと、私は御手洗にいた。

「おい。」
「何か?」

女子トイレの前で待つ男子生徒を私はどう思えば良いの。変態、で良いですか。というのは置いておいて、彼らは私に用があるらしい。

「人質として協力しろ。お前が人質になれば逃げ回ってる秀吉も大人しくケンカするしかなくなるだろ。」

加藤くんの指示ではなさそうだし自分たちで考えた結果なのだろうが、交渉するには色々と足りていない。

「断る。」
「なら無理矢理にでも連れていくまでだ。」

4人の男子生徒が私を囲む。交渉材料がないのなら最初からそうすれば良かったのに。これではとんだ無駄足だ、可哀想に。

「そもそも私があんたたちに協力する義理はないでしょう?」

そんなに実力のない人達の集まりだったためある程度は楽勝だったが、そのうちの一人がサバイバルナイフを出してきたのは予想外だった。ナイフをかわすので精一杯で攻めの一手までなかなか踏み出せない。

「大人しくしてれば怪我しなかったのになあ!?」
「……これは豊臣くんの戦。なんと言われようと私は邪魔はしない。」

何回か攻防した後の一瞬の隙を彼女は見逃さなかった。ナイフを持つ腕を掴みそのまま背負い投げをする。冷たい床に叩き付けられた男のナイフを握る手が緩まった。これは勝負ありだ。

「いった〜。」

頬に付いた切り傷から血が滲む。浅く小さいものだが痛みは比例してくれないらしい。豊臣くんの様子が気になり教室に戻ろうと歩き始めると、壁に背を付けた黒田くんの姿が見えた。

「黒田くんの差し金……というわけでも無さそうだしやっぱり彼らの独壇場か。でも加藤くんに話を持ちかけた黒田くんという訳ね、なるほど。」
「お前は秀吉をどう見る?」

私の読みを否定をする訳でもなく彼はそう言った。

「どう、かあ。懐に入るのが上手くて憎たらしい。でもどこか憎めない。腕っ節が弱いことを一番気にしているのも変わりたいと願ってるのも彼自身。一皮剥けるよ、きっと。」

黒田くんも彼のそれを見込んでこの戦をけしかけたのだろう。真っ直ぐ相手と向き合う加藤くんを選んだのも頷ける。

「愛だな。」
「愛!?どこが!?」
「それとも恋か。」
「意味が分からない!」

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もちゃ(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます。こだわってるところ褒めていただけて光栄です。楽しみにしてくださってることも嬉しいです、ありがとうございます。 (2022年9月9日 3時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます。お返事遅くなってしまい申し訳ございません。好きと言っていただけて嬉しいです。応援もありがとうございます、頑張ります。 (2022年9月9日 3時) (レス) @page22 id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
みー - このお話の2人の距離感が私も好きです!これからも楽しみにしています! (2022年9月5日 10時) (レス) id: ef372782cb (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 面白くて好きです!更新頑張ってください! (2022年8月16日 23時) (レス) @page19 id: 2a8d4606f0 (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - moka、さん» コメントありがとうございます。試行錯誤しながらですが最初のうちは近すぎず遠すぎずを目指しているのでそんな2人の距離感を好きって言ってもらえて嬉しいです。感想、お気遣い、ありがとうございます。 (2022年8月11日 2時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もちゃ | 作成日時:2022年7月29日 15時

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