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入学式のためホールに集められた銀杏高校の生徒たち。ひと足早くここへ来ていて今までクラスメイトに会う機会がなかったため顔ぶれを新鮮に感じる。視線を感じ左隣を見ると、朱色の髪の毛をした猿顔の男子と目が合った。
「……何か?」
「えらいべっぴんさんがおるなあ思って。名前は?俺、豊臣秀吉。よろしくな!」
「成田A。よろしくお願いします。」
名を告げると反応したのは豊臣秀吉と名乗った男の子ではなく、その隣にいた女の子だった。
「小田原攻めで関東で唯一落とせなかった忍城の城主の娘で、東国随一の美女と言われ豊臣秀吉の側室でもあったというあのっ……!?」
よく聞こえなかったため聞き返すとハッと我に返り、日下部みやびと自己紹介をしてくれた。先程の内容については教えてくれる気はないらしい。するとホールの2階から女の人が黒い布がかかった何かを持ってやってきた。
「一同、注目!」
その布の下には大きな水晶があり、男の人の顔が浮かんだ。どうやらこの学校の理事長らしい。彼は別府ノ守与太郎と名乗った。……明日には忘れていそうな名だ。
「怖い。」
「話ってなんだ、化け物。」
明智光秀が怯えながら様子を伺い、武田信玄はその水晶にメンチを切っていた。それに怯むことなく理事長は話を続ける。
「血気盛んな皆さんに朗報があります。戦いたくてうずうずしてるでしょう。ならば決めましょう、誰がこの銀杏高校で1番強いのか!
誰が天下を取るのか!」
「旗印戦、開幕!」
横断幕が下がり、女の人が法螺貝を吹く。
「これが、ロマンだ!」
どうやら、何か面倒なことが始まってしまったらしい。その後入学式らしいことはすることなく各々教室へ向かうこととなった。席は決まっていない様だったので、みやびちゃんの隣に座ることにした。その前の席には豊臣くんが座っていた。ニコニコしながら私たちを見つめているがその真意は掴めない。空気が変わったのは武田くんが入ってきた時だ。井伊直政御一行が彼に喧嘩をふっかけるが、2人が睨み合いに差し掛かったところで肉山と言う担任に止められていた。点呼の際にみやびちゃんと豊臣くんの話をちらりと聞いてしまったのだが、豊臣くんは軽いタイプの男の子だということが分かった。……信用ならない。
「秀吉くん、でええんやで?」
「遠慮します。さようなら。」
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もちゃ(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます。こだわってるところ褒めていただけて光栄です。楽しみにしてくださってることも嬉しいです、ありがとうございます。 (2022年9月9日 3時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - さくらさん» コメントありがとうございます。お返事遅くなってしまい申し訳ございません。好きと言っていただけて嬉しいです。応援もありがとうございます、頑張ります。 (2022年9月9日 3時) (レス) @page22 id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
みー - このお話の2人の距離感が私も好きです!これからも楽しみにしています! (2022年9月5日 10時) (レス) id: ef372782cb (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 面白くて好きです!更新頑張ってください! (2022年8月16日 23時) (レス) @page19 id: 2a8d4606f0 (このIDを非表示/違反報告)
もちゃ(プロフ) - moka、さん» コメントありがとうございます。試行錯誤しながらですが最初のうちは近すぎず遠すぎずを目指しているのでそんな2人の距離感を好きって言ってもらえて嬉しいです。感想、お気遣い、ありがとうございます。 (2022年8月11日 2時) (レス) id: ecce92cfda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちゃ | 作成日時:2022年7月29日 15時