01 全てのはじまり ページ1
「なんだこれ…」
ちゅるちゅる。不慣れなせいか、麺をうまく啜れない。が、その美味しさにため息をつく1人の女。
女の名前はAという。ロシア人の父と日本人の母を持つ箱入り娘だった。趣味は美味しいものを食べることと、美味しいものを飲むこと。
食いしん坊である。
「美味しい！美味しいー！もっとちょうだい！」
初めて食べた天麩羅蕎麦を大変気に入った様子。
目を輝かせながら三杯目の蕎麦を強請る彼女にやや引き気味の店主。は、はいよォ…とたじたじした返事をして彼女のために三度目の麺を湯掻きだした。
美味いものを食べ、満面の笑みを散らすAの口の周りには天麩羅のカスがたくさんついていた。とても満足そうだ。
そこから少し離れた席には軍服に身を包む男が数人。少し遅めの昼食を摂っていた。
「百之助ェ、ああいうお嬢さんが好みとはなァ」
「何…？」
そのうちの一人、尾形と呼ばれる男はAを注意深く窺っていた。その目は猫のように謎めいていて無表情ともとれる。要するに何を考えているのか分からない、そんな目。
Aは外国の血を感じさせる見た目、そしてその華奢な体からは想像し難い見事な食べっぷりと他者の目を引くには十分すぎる条件が揃ってはいる、が…
「おい宇佐美。俺がただ女に見惚れていると？」
尾形はムッとした。眉間に微かに皺が寄っている。
お、いい女がいるじゃねえか。と熱い視線を向けていたというわけではなさそうだ。
用が済んだ箸をどんぶりのフチに添えて軍帽を被り直す。
「あの女…何かおかしい。」
もう一度Aをちらりと見るとほんの一瞬、目があった。が、すぐに逸らされた。
ほら、絶対変だ。あの見た目…残留ロシア人か？何故一人でいる。何にせよ只者ではない妙な空気感を纏っている。と仲間に目で訴える。
大日本帝国陸軍第七師団・階級上等兵、尾形百之助は日露戦争帰りのせいか怪しい人物の気配に敏感になっているようだ。
「はあ〜？ただの露人の女だろうよ。そういう変な事ばかり言うから軍の中で孤立するんじゃないか〜？なぁ百之助ェ」
「………。」
同僚とも呼べる同階級、宇佐美は鼻で笑った。
尾形はまたスン…とミステリアスな表情に戻った。言われたことが図星…だったのかもしれない。
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メルテア(プロフ) - 炊きたてのお米くらいあっつあつじゃん？でもう笑いすぎて感想書いちゃいましたww主人公面白すぎるwww神作品ありがとうございます！！m(_ _)m (8月31日 8時) (
レス) @page28 id: 296f866ede (このIDを非表示/違反報告)
Chloe(プロフ) - 蛙奈さん» 蛙奈様へ。ありがとうございます！私の中で鯉登は普段ピュアピュアなのにたまに男らしさを見せるカッコイイ奴って感じだったりします！鯉登もちょいちょい絡んできますのでまた読んでいただけると嬉しいです！ (2021年10月10日 20時) (レス) id: b0de3b5808 (このIDを非表示/違反報告)
蛙奈(プロフ) - 鯉登少尉のピュアさに悶絶して思わずコメントしました…私自身鯉登少尉推しなのでとても嬉しいです！頑張ってください！ (2021年10月10日 16時) (レス) id: dbf954f045 (このIDを非表示/違反報告)
Chloe(プロフ) - 蛙奈さん» 蛙奈様へ。はじめまして！コメントありがとうございます！嬉しいです。色仕掛けちょいちょい出す予定です(笑)素敵なご感想ありがとうございました！ (2021年10月7日 19時) (レス) id: b0de3b5808 (このIDを非表示/違反報告)
蛙奈(プロフ) - コメント失礼します。とても面白いです！特に尾形の色仕掛けが色んな意味でドキドキしました！主人公の食いっぷりも読んでいてお腹が空いてしまいます。素敵な作品！更新待ってます。 (2021年10月7日 17時) (レス) id: dbf954f045 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chloe | 作成日時：2021年10月5日 1時
