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その背の高い男の人は、ケータリングに置いてあったスナック菓子の袋を手に持っていた。
よくよく思い出して見ればさっきからバスケをしていた男達の集団にはいなかったような気がする。
「ヒョンウォンさん、それうちのメンバーのなんですけど」
「欲しかったの一口だけだしもう満足。ほら、返すわ」
「あの、」
「誰のだった?」
「シュアヒョンですけど」
「ふ〜ん、じゃあ大丈夫だろ」
そう言って笑ったヒョンウォンさんが「オレ達、仲良しだから」と付け加えた。
「ずっと思ってたんだけど、なんで年上の奴らオッパじゃなくてヒョンって呼ぶの?」
「その方がグループとして統一感が出るので」
「ふーん。つまり、みんなとお揃いが良いってことか」
「そうです」
戻ってきた冷たいアメリカーノは質量が半分に減っている。随分大きな一口だ。
カップの外側に結露した水滴が、ポタリとアスファルトに落っこちていく。
まあ、年上の人がそう言ってるんだからそうなんだろう。
戻るのも面倒だし、言い訳の材料は出来た。
何の反論もせずにテントへ戻ろうと歩き出すと、持っていたお菓子の袋をバリっと開けながらヒョンウォンさんが横に並ぶ。
「ところで、Aはオレの名前知ってた?話したことも無いのに」
「そりゃあ全員年上ですけど、同期ですから」
「メンバー同士仲も良いし」
「そうですね」
「こうやって一緒に仕事をする機会も多いし」
「そうですね」
「なあ、ミニョクはわかる?オレらのとこの」
「わかりますけど……なんですか?」
歩きながら隣の人を見上げると、へらりと顔を緩ませて笑う。
若干治安の悪そうな髪型と服装をしているけれど、綺麗な顔はそんなんじゃ隠しきれないらしい。
「ミニョギ、最近お前の愛想が『前より良くなった』って喜んでてさあ」
「は、はあ……?」
「だって今まで挨拶する時は誰かの後ろに隠れてただろ?」
「そんなつもりは無いですけど」
「じゃあ隠されてたのか」
「それも違うと思います」
「まあとにかく、実際今はこうやって話しかけたら返してくれるわけじゃん。最初の頃は誰が何を聞いてもイエスかノーのどっちかだったし」
「そうですね」
「だから、何の心境の変化があったのか気になって」
だから声を掛けたのだとヒョンウォンさんが言う。
いや、絶対アメリカーノのついでだと思うけど。
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みみ - ま、まって...!姿見に星が写っててカメラ持って拗ねてるってセブチのバラエティかなんかで見た、、!笑既視感!! (2020年9月25日 7時) (レス) id: 54f59f67c1 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - 美紀さん» ありがとうございます。頑張ります! (2019年11月27日 8時) (レス) id: c619cb401b (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - セブチ大好きです最高です気温の変化が激しいので気を付けて更新大変だと思いますが頑張ってくださいね応援してます (2019年11月26日 18時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
美紀 - ワナワンとBTSとセブチ大好きです最高です (2019年10月3日 19時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
せの(プロフ) - ky3mzkさん» ありがとうございます!むしろその三組しか出さないんですが、またお暇なときにでも楽しんでもらえるとうれしいです! (2019年8月14日 21時) (レス) id: 73addbec04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:せの | 作成日時:2019年7月30日 13時