01 劇場。 ページ7
*
「……っ!」
息を吸おうとしても、声を出そうとしても、全然できなくて。
_____劇場。
盛「…今日はここまでにしとくか?」
リ「日改める?」
「ここまで来れただけ成長やわ」と言いながら頭をなでられる。
…こいつら、私のこと何歳やとおもてんねん。
劇場前の通りに入り、たこ焼き屋をすぎたあたり。
もう、ほんまに目と鼻の先。
はためく劇場の旗の音さえ懐かしい。
何回も何回も通った道。
すべり散らかして泣きながら帰った道。
はじめての単独にはしゃぎながら通った道。
……意識のない相方が救急車で運ばれてった道。
懐かしくて嬉しい気持ちと、辛くて怖くて暗い気持ちが湧き上がる。
手は震えるし、息もしづらい。
でも、ここまでこれたんやから、、、
「…いや、行く。」
リ「おお、ほんなら行こ」
盛「もー出番近いし、俺おんぶしよか?」
「ほな頼むわ」
盛「えぇ?!ほんまにすんの?」
もりしが冗談で言った言葉をすんなり受け入れると、めっちゃびっくりされた。
毎日毎日、忙しい合間塗って来てくれてる2人のためにも、
もう今日で終わらせたい。
心配かけてるみんなに、せめて顔だけ見せにいきたい。
でも、足が動かんから。
盛「えぇ?!ほんまに?!めっちゃ乗ってくる、この子」
「ええやろ、乳当てといたるから」
盛「それ言わなあかんかった?!言わん方がドキッとしてたで?!」
リ「よかったな、もりし。童貞卒業やな」
盛「いや乳当てられたら童貞卒業ってなに?ほんで童貞ちゃうけどお?!」
「もうええから、はよ行って」
おんぶしてもらって、いざ2ヶ月半ぶりのマンゲキへ。
盛「はい、エレベーター乗ります〜」
「……」
盛「…あれ?Aおらんなった?」
リ「わかるやろ、重みで」
盛「なに?どうなってんの?この人」
リ「顔埋めとる」
盛「え、まって?背中はさすがに臭いと思うで俺」
もりしのタバコとおっさん臭い背中で、息を整える。
呼吸の仕方がわからなくなりそうで、必死に吐き出して吸ってを意識する。
絶対震えてるのわかってるはずやのに、
「臭くても怒らんといてやー」なんて言いながら、あえて触れないようにしてくれている。
…ありがとう。
いっぱい乳当てとくわな。
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作者名:よいちょちょちょ丸。 | 作成日時:2022年2月24日 10時