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*
「私もけんしろさんのことす「ちゃう」
「え?」
「そういう好きちゃうねよ」
また簡単に、いつもの大安売りの"好き"を言おうとするから。
「Aが今言おうとしてる好きと、俺の言ってる好きはちゃう」
「え、、?」
「そんな簡単なもんちゃう」
「えー、、」
告白の返事に対して「ちゃう」っ言うたん俺が初めてちゃう?
なんて思ってしまう。
胸の中で、顔が見えない相手。
この強者に対して気持ちを伝えるのは至難の業で。
どう言えば、ふざける逃げ場がなくなるか。
そんなことを考えながら。
「、、Aのこと、ずーーっと好きやった」
「え、」
「劇場出始めの時から、ずーっと」
「……」
「可愛くて可愛くてしゃーないんよ」
「……」
「泣いても笑っても、可愛くてたまらんのよ」
「……」
「下品なこと言うし、もーやめてってほど男と寝るし」
「う、、」
「誰にでもちゅーするし、すぐ脱ぐし」
「うぅ、、」
「それでも、可愛くてしゃーないんよ」
「……」
しっかりと俺の背中に回された腕。
上げることのないその顔、どんな顔して聞いてるん?
ちゃんと真剣に受け取ってくれてる?
「Aがスタッフなって、芸人みんな動き出すやろなあおもて。」
「……」
「先陣切らせてもろたんよ」
「……」
「ごめんなあ、びっくりしたやろ」
「…はい」
「でも本気やで。ほんまに好きやねん」
再度、腰に回した手を引き寄せる。
簡単に近づく細いのにやわらかいその体が、少し熱い。
「ちゃんと聞いててくれた?」
そう言って、片手を頬にあててそっと持ち上げる。
「、、、その顔はずるいわあ」
「計算です」
「いや嘘つけえ」
真っ赤な顔をして、唇をムの字にして。
目線を合わそうともしない。
そんなん、、たまらんやんか。
「なんなん、その顔。初めて見たわ。」
「うー、、」
「ちょ、もっとよー見せてよ」
「い、いやや」
「照れてくれてるん?」
「、、照れるに決まってるでしょ、こんなもん」
「もー、、かわいいのやめて」
「そっちこそやめて、、」
「うー」って唸りながら、俺の肩にデコを擦り付けて
「顔見せて」って言っても全然あげてくれへん。
このギャップは、ずるすぎるなあ、、。
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作者名:よいちょちょちょ丸。 | 作成日時:2022年2月24日 10時