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no side





「させるわけ無いだろ。」


『零……!?』




降谷が横から花園の手首を強く掴み、
ピクリとも動かさせなかった。




降谷に引かれて後ろに傾いていた駿東の体は、
萩原によって支えられた。
諸伏が駿東を庇うように前に出て花園を見据える。





「これ以上、大切な幼馴染みを傷付けないでくれ。」





いつもとは違う低く、冷たい声だった。
温厚な諸伏が怒るのは珍しい。
それだけに花園も息を呑んだ。





「何で……私が……私は、頑張ってたのに、
勝てなくて、だから……」





ガクン、と力の抜けた花園は
今度こそ教官たちに連れられて去って行く。

残された佐々木たちは泣きそうな顔で前に出る。
それからまっすぐ駿東を見て、頭を下げた。





「……すみませんでした。
自分の感情ばかりで行動してしまいました……」


「俺たちは佐々木の事だからって面白がって、
駿東さんを巻き込んでしまいました……」


「花園さんが言ったことを真に受けて……
事実確認もせずこんな事をしてしまいました。」





すみませんでした、もう一度そう言って頭を下げる
佐々木たち。

幼馴染みの降谷と諸伏は謝罪を聞いたものの、
許す気は無さそうである。
それは同室の山田と吉崎も然り。





『……佐々木くん達が悪くないとは言えません。
花園さんに流されて助けてくれなかったし。』





うつむく3人。
駿東は構わず続ける。





『でも落ちたのは私の判断なんだよね。
佐々木くんに一応聞くけど、私を落とす気でいた?』


「ッいません!!本当に、それだけは違います……!」


『……殴って痛い目に遭わせよう、くらい?』


「ッ……はい……」





今にも消え入りそうな声で返事をする佐々木。
駿東はそんな佐々木をじっと見てから口を開く。





『じゃあ何か言うことない?』


「えっ……あの……本当にすみませんでした……
俺の、勝手な感情で──────」


『あー違う違う。それはもう聞いた。』


「……?」




オロオロし始める佐々木。
横にいた友人たちも分からない、という顔をする。




「チッ……おい佐々木。」


「は、はい……」




痺れを切らした松田が駿東の横に並ぶ。




「オマエ、何で今ここにいるんだよ。」


「ッ!?」


「土汚れもなくて随分と綺麗なナリしてるじゃねぇか。
怪我もしてねぇよな。加害者だからか?」


「「「!!」」」





その言葉に佐々木たちはハッと目を見開いた。

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沙羅(プロフ) - イル@iruさん» コメントありがとうございます!そう言って貰えて本当に嬉しいです…!!警察学校組の放送開始に合わせてバリバリ更新するつもりなので、どうぞ今後ともよろしくお願いしますー!! (2021年12月5日 16時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
イル@iru - コメント失礼します!面白すぎて一気に読んでしまいました。これから夢主がどうなるか続きが気になります!更新頑張ってください!!! (2021年12月5日 15時) (レス) @page35 id: 9f7598e3df (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 神崎さん» コメントありがとうございます!!ゆっくり更新になってしまいますが、全力で書かせて頂きますー!!どうぞこれからもよろしくお願いします! (2021年9月15日 0時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 凄く面白いです!!続き楽しみにしてます! (2021年9月15日 0時) (レス) id: 570d2293d8 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - かるーあ・みるくさん» コメントありがとうございます!!またお会い出来て嬉しいです!!まだまだ続きますので、どうぞよろしくお願いしますー! (2021年7月14日 21時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2021年7月13日 15時

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