許嫁で純愛【呪術廻戦】

三十本 ページ31

no side





「お。」


『！』





ズルン、と廃ビルの壁から呪霊が飛び出す。





「祓います、」


「待って。」





伏黒が構えるが五条は制止する。
次の瞬間、呪霊は悲鳴を上げて消えた。


体から棘のようなものが飛び出していたのは
釘崎の術式だ。





「……」


「いいね。ちゃんとイカれてた。」





しばらくして虎杖達が廃ビルから出てくる。
Aが最初に気付いた少年を連れていた。





「お姉さんもあのお兄ちゃん達の知り合い？」


『、』




こく、と頷いたAは
よしよしと少年の頭を撫でる。





「子どもの面倒をみるA……イイね。」


「……言い方が良くないと思います。」


「えぇ？だってそう思わない？
Aに子どもができたらあんな感じかなーって。」


「…………そうですか。」





伏黒はスルーを選択した。





「(でもこの人達……許嫁で未入籍なんだよな。
全然そんな風には見えないけど。

やっぱ籍入れたらそういうこともあるのか……
いや、俺は何を考えてるんだ。考えるな俺。)」





「僕の家すぐそこだから！ありがとう！」


『気を、付けて、ね、』





優しく微笑んで手を振るA。
少年も嬉しそうに手を振り返して走って行った。


Aは振り返って五条らにグッドサインを送る。
五条も頷いて戻ろうか、とサムズアップ。





「お疲れサマンサー！！
子供は送り届けたよー今度こそ飯行こうか。」


「ビフテキ！！」


「シースー！！」



「恵は？」


「…………」




伏黒はスマホを見ていた。
Aがツンツンと伏黒の肩をつつくが
時すでに遅しお寿司。

五条は虎杖と釘崎の肩を押して歩き出していた。
Aは苦笑して伏黒の背中を押す。





『……い、ざ……わ………と、…い、こ。』


「(いざとなれば、私と行こう。か……)はい。」


「え、ちょっとA！？恵抜け駆け厳禁！！」


「俺が悪いんですか？」





あの６文字で意図が読める伏黒と五条は凄いと思う。





「どったの伏黒。」


「別に。」


「出番が無くてスネてんの。」


「プップー子ども〜」




伏黒を茶化して２人は笑った。









記録──────2018年７月
西東京市 英集少年院
運動場上空





特級仮想怨霊(名称未定)
その呪胎を非術師数名の目視で確認
緊急事態のため高専一年生３名が派遣され






内1名 死亡

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