三本 ページ4
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『カハッ…………』
小さなAの体はいとも簡単に吹き飛んだ。
Aの前に立つのは呪具を持った父親。
「立て。泣くな、立て。」
痛みに涙を零すAを蹴り、
何度も棒状の呪具で小突いた。
「ある程度の技は身についた筈だ。
あの五条家嫡男は無下限呪術が使える。
お前も使えるようになりなさい。呪力は足りる。」
父親は勢いよく呪具でAを叩く。
バチンと痛々しい音が辺りに響く。
「防げ!防げるようになるまで食事は抜きだぞ!」
『ガッ……あ"ぁ"っ……』
言われて初日で出来る筈もなく、
日が暮れて、Aは暗い地下に放り込まれた。
「何故出来なかったのかよく考えなさい。」
『……はい。』
Aはぼんやりと高い所にある窓を眺める。
僅かな隙間から月の光だけが届く。
『無下限呪術がそう簡単に使えてたまるか。
……嫌いだ、お父様も、お母様も兄様達も嫌いだ。』
膝に顔をうずめてAは呟く。
噛まれた唇からゆっくり血が流れていく。
バリン、と大きな音がして
あの小さな窓のガラスが飛び散った。
『ッ……!?な、』
Aは声を上げると同時に飛び退いて
窓から落ちてくる何かから距離を取った。
『誰……』
そう声をかけるも
月明かりの中で蠢くだけだった。
刹那、
Aは既の所で身を捻ってかわした。
『呪霊……!!』
Aは素早く髪を引き抜いて構える。
髪を使う呪術は既に使いこなせるようになっていた。
『"
髪は瞬時に膨らんで、
銀の毛並みを持つ狼へと変化した。
『銀狼に命じる。
"我に仇なす者を排除せよ"。』
【グルルルル……!!】
Aの言葉を聞いた瞬間、
銀狼は物凄い速さで呪霊に飛びかかった。
【ギャ、ギャギャッ、グギャッ!!】
【ウオォォォン……】
何度も呪霊に噛み付く銀狼。
呪霊も悲鳴のようなものを上げ抵抗する。
【キャウンッ!!!】
大きく口を開けて噛み付いた銀狼が
甲高い悲鳴を上げて飛び退いた。
『!?』
飛び退いたはずの銀狼は
次の瞬間には呪霊によって粉々にされる。
『銀狼ッ……!?
ッ……な、この、呪力……!!!』
目の前で蹲っていた呪霊から
膨大な呪力が放出されていた。
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りんごりんご - え、神ですか?こんなに作品の組み立てが上手なの、なかなか無いですよ!神ですか?いや神ですよね? (2021年1月31日 18時) (レス) id: f29ad8ba49 (このIDを非表示/違反報告)
くらくしょん - すごくお話をかかれるのが上手なんですね!、読んでいてとても楽しかったです、これからも頑張ってください (2020年12月6日 16時) (レス) id: 15035c8d2a (このIDを非表示/違反報告)
百 - 深凪さん» めっさ分かる!唇ちょっとピンクいのがめっちゃ可愛くて、五条先生のカッコいい感じとか余裕がある感じとのギャップヤバくてマジえらい。 (2020年11月30日 19時) (レス) id: 78401eb32b (このIDを非表示/違反報告)
深凪 - アニメ作画良すぎですよね!!私も五条先生の唇ぷるっぷるやんって思ってたので同じこと思ってる人がいて嬉しいです(笑)小説とっても面白いです!更新待ってます!! (2020年11月18日 22時) (レス) id: a6413cd937 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 凄い面白いです!無理のない範囲で更新頑張って下さい! (2020年11月18日 16時) (レス) id: 32b6d86f2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年10月25日 22時