十二本 ページ13
no side
両家総出での1年にわたる長い話し合いを終え、
ついにAが家を出る日が来た。
「…………」
「…………」
「元気でな、A。」
「せいぜい捨てられないようにな。」
「
『はい。お元気で。』
五条に勇気づけられていたAは無敵だった。
笑顔で兄達の嫌味を受け流す。
Aにとって気がかりなのは
先程から無言の両親だった。
『……では、』
深く頭を下げるA。
それでも両親達の声は聞こえない。
迎えに来ていた例によって黒塗りの車に乗る直前、
Aはほんの少しだけ後ろを見る。
「恩知らずが…………」
『ッ…………!』
恨めしそうな目でAを見る父親。
Aが"恩知らず"だなんてそんな事は有り得ない。
呪術の長けたAを使っても
五条悟に勘づかれたことで思った通りに
縁談を進めることが出来なかった完全な逆恨みだ。
Aを見つめる真っ黒な父親の瞳は
ドロドロと濁った感情で満たされていて
目を合わせることすら恐ろしいくらいだった。
『ッ……、』
Aはそんな視線から逃げるように車に乗り込み
素早く扉を閉める。
運転手に軽く挨拶をし、
座席の上でAは小さく震えていた。
.
──────父親のあの目が頭から離れなかった。
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りんごりんご - え、神ですか?こんなに作品の組み立てが上手なの、なかなか無いですよ!神ですか?いや神ですよね? (2021年1月31日 18時) (レス) id: f29ad8ba49 (このIDを非表示/違反報告)
くらくしょん - すごくお話をかかれるのが上手なんですね!、読んでいてとても楽しかったです、これからも頑張ってください (2020年12月6日 16時) (レス) id: 15035c8d2a (このIDを非表示/違反報告)
百 - 深凪さん» めっさ分かる!唇ちょっとピンクいのがめっちゃ可愛くて、五条先生のカッコいい感じとか余裕がある感じとのギャップヤバくてマジえらい。 (2020年11月30日 19時) (レス) id: 78401eb32b (このIDを非表示/違反報告)
深凪 - アニメ作画良すぎですよね!!私も五条先生の唇ぷるっぷるやんって思ってたので同じこと思ってる人がいて嬉しいです(笑)小説とっても面白いです!更新待ってます!! (2020年11月18日 22時) (レス) id: a6413cd937 (このIDを非表示/違反報告)
真白 - 凄い面白いです!無理のない範囲で更新頑張って下さい! (2020年11月18日 16時) (レス) id: 32b6d86f2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年10月25日 22時