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『美味しそうなお菓子が沢山あったね。』


「いいもの買えた?」


『買えた!ありがとうゆ……精市!』


「それは良かった。
次に行きたい所は最後なんだけど……」


『うん。もう最後かぁ……あっという間だね。』


「……そうだね。」





2人は電車に乗りながら話をする。
電車を降りたらバスに乗り換えさらに進む。





「さ、着いたよ。」


『美術館?』


「そう。Aと来たかったんだ。」


『ふふ、精市らしいね。』




中学生の男女が訪れる場所にしてはなかなか渋いが
幸村はもちろん、Aも嫌ではない。





『へぇ……あ、これテレビで見たことある。』


「本当だ。俺も見たことある。」





ひそひそと小声で会話しながら
絵画を覗き込む2人。





『この作者の作品はフランスでも見たなぁ……』


「え、フランス行ったことあるの?」


『うん。父さんの仕事で一緒に。
仕事中は暇だから私は観光してたの。』


「そうだったんだ。」




良いなぁ、と思わず声を漏らす幸村。
Aはクスクスと笑って幸村の肩を軽く叩く。





『いつか一緒に行こうよ!
現地の美術愛好家くらいなら紹介できるよ。』


「それは嬉しいな。ぜひお願いするよ。」


『じゃあ約束ね!』





ニッ、と笑ったAは隣の美術品に目を移す。
その横顔は真剣で、幸村にはどこか輝いて見えた。





「(……重症だな。)」


『精市?どうしたの?具合悪い?』


「……え、あ、大丈夫。少し考え事してた。」


『そう?なら良いけど……』




ボーっとしていた幸村は慌てて首を振って
Aが見ていた美術品に目を向ける。





「(賭けで勝ったから、だとしても……
Aと来れて良かった。)」





幸村はそっと微笑む。
それからAの手を引いた。





「そろそろ暗くなってきたから帰ろうか。」


『もうそんな時間?
うわぁ……時間が過ぎるの早いなぁ!』


「そうだね……俺もそう思うよ。
ホント、あっという間だった。」





帰りもバスに乗って移動する2人。
車内で美術館で見たものを思い出しながら会話する。


彫刻が細かく作り込まれてこうだった、だとか
あの絵画は色遣いがどうだった、だとか。
中学生にしては高度な感想だった。

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沙羅(プロフ) - I like chocoさん» コメントありがとうございます!気まぐれ更新ですが頑張りますねー! (2020年3月9日 14時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
I like choco - お、面白い!続き待ってます! (2020年3月9日 13時) (レス) id: 1b7c1dd1e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2017年6月13日 23時

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