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ゲームは着々と進んでいき
Aは1ゲームも落とすことなく6ゲーム目。
先程とはまるで違う動きだった。
「ッ……!!(アイツに!負ける訳には、)あっ!」
焦った田中はロブを上げてしまう。
Aはジッ、とそのボールを見て走る。
『スマーッシュ。』
ジャンプ、することは無く
普通にスマッシュを決めるA。
それでも威力はとてつもなかった。
「げ、ゲーム!」
再びかかるゲーム終了のコール。
Aは礼を言ってベンチに戻った。
「凄いのぅA。何で隠してたんじゃ。」
『いや……だってマネージャーだし……』
「いやいや!だとしてもだろ!」
『だって……2度とテニスする気なかった。』
ふいっと視線を逸らすA。
幸村達は何かある、そう確信したが
それを追求することは無かった。優しい。
「さ、最後は私ね……!」
Aの前に立つのは佐藤さん。
彼女は県大会出場経験がある実力者だ。
『……ども。』
「わ、私は負けないから!」
『はぁ。』
「か、覚悟しなさい!」
ツンっと踵を返して去っていく佐藤。
Aは、はぁ……と息を吐いて立ち上がった。
「A……勝てそう?
佐藤さんって女テニでは有名な人だよ。」
『……?有名だったら勝てないの?』
「え、」
『……良いよ。特別に幸村達だけに教えてあげる。
私のロシアでの名前。柳なら調べられたりして?』
Aは背中を向けたまま言う。
『A·
これは娘用の父称だから
父さんは「
「ロシア名……」
「その苗字……!!」
『あは、さすが柳。知ってた?』
ヘラッと笑ったAは
秘密、と人差し指を口元にあてコートに入る。
「蓮二、知ってるのかい?」
「ッ精市も知っているはずだぞ。
プロテニス選手……"貴公子 イリヤ・トルストイ"!」
「その名前、俺も聞いたことあるぜぃ!?
すぐ辞めちまった人だろ!?」
「圧倒的な強さで世界を騒がせ……
20歳になった途端に引退した伝説の選手。
その娘が…………A………………!?」
開いた口が塞がらない、とはこの事を言うのだろう。
テニス部員は皆、固まって動かなくなってしまった。
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沙羅(プロフ) - I like chocoさん» コメントありがとうございます!気まぐれ更新ですが頑張りますねー! (2020年3月9日 14時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
I like choco - お、面白い!続き待ってます! (2020年3月9日 13時) (レス) id: 1b7c1dd1e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2017年6月13日 23時