脳みそ腐っとるんか？

お隣、10日目 ページ10

▽


「A、最近侑君と仲良いよね〜」

「侑君は芸人さんみたいだよね」


翌日。

昼休み、いつも通りに飯を食っていたら、少し離れたところから水野とその友達の会話が聞こえてきた。そういえば水野の交友関係って謎やな。

なんとなく気になって、盗み聞きは良くないと思いつつも耳を澄ませた。


「カッコイイけど、ちょっと怖そうじゃん？」

「うーん…？どっちも理解しがたい…」


いや、カッコイイの方は肯定しろや。

さらっとディスられて若干ムッとする。

隣でおにぎりを頬張りながら「ドンマイやな」と笑うサム。いやお前も同じ顔や、と言いたいのをこらえて、再び水野の声に耳を傾けた。


「正直、顔だけって感じだよね〜」

「運動できるのはかっこいいけどねー」


(……好き勝手言いよって…)


まあ正直、俺の性格は良いとは言い難いし、敵が多いのも仕方ないといえば仕方ないのかもしれない。

それにしたって、よお分からん女に文句を言われるのはイラッとするけどな。


友達の話を興味なさげに聞いていた水野は「Aもそう思わない？」と友達に話をふられ、思案顔をする。


「う〜ん」

「絶対性格悪いって！」


そうそう！と同調し、無理やりにでも水野の口から「宮侑は性格が悪い」と言わせたいらしい女共に腹が立つ。そんなん、もしあいつが頷いたとしても本心じゃないやろ。

……いや、俺がそう思いたいだけかもしれん。

それにしても、意外と女々しい女共と付き合ってるんやな、あいつも。


まだ友達に「ね？ね！」と圧力をかけられて困っている水野をチラリと盗み見る。


女は嫌いや。

俺のスペック目当てで近寄ってくるし、バレーしてるとこが好きとか言うくせに付き合ってみたら「バレーばっかでつまんない」と言いよるし、打算や偽善で塗りたくられてる。



__だけど、


「うーん、侑くんは……」



水野Aは、



「確かにちょっと意地汚いとこあるけど」



打算や偽善とは無縁の阿呆やから、



「でも、悪い人じゃないと思うな！」



そう言って、阿保丸出しの顔で笑うんやな。



「私の話、なんだかんだちゃんと聞いてくれるしね」



……サム、取り消すわ。

お前、俺と違って趣味ええんやな。


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