お隣、11日目 ページ11
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「侑くんじゃーん!」
ご機嫌麗しゅう!と俺の背中をバンバン叩く女は、言わずもがな水野A。
「あれ、治君は一緒じゃないんだね」
キョロキョロと辺りを見回す水野を見て、なんや俺だけじゃ不満なんかとムッとする。だけどそれを悟られるのも癪で、何とか抑え込む。
「サムは忘れ物あるから先に帰っとってくれいうて学校戻ったわ」
「いつもは一緒に帰ってるんだ!仲良しだね〜」
「帰る家が一緒やからな」
それもそっか!と言ってケラケラ笑う水野。コイツほんま笑ってばっかやな。ずっと笑ってて疲れないんか。
というか部活入ってなさそうなのに、なんでこんな遅くまで残ってたんだろう。ふと浮かんだ疑問を口にしてみたら、水野は少しだけ目をそらした。
「ボーっとしてたらね!」
「ボーっとしすぎやろ」
「まあまあ!誰だってボーっとすることくらいありますよー!」
ね!ね!と言ってまた俺の背中をバンバン叩く。
なんだか無理やり話を逸らされたような気がするけど気のせいだろうか。
腑に落ちない気もするけど、俺の隣で「お!今日は月がいいねいい感じだねー!」と一人盛り上がっている水野を見たらどうでもよくなった。
フッと口角が上がるのが分かる。
なあ、と俺が声をかけるのと同時に、水野は口を開いた。
「じゃっ私帰るね!」
「は?」
「え?」
……いやいやいや、一緒に帰る雰囲気だったやんけ。そういう感じだったやろ。なに普通に帰ろうとしとんねん。
「水野は家どっちや」
「私はこっち!」
「俺もそっちや」
「そっか、じゃあまた明日!」
「ちょ待て待て待て、待てや!」
じゃっと言って走り出そうとする水野の手首を思わず掴む。ぐえっと女らしくない声を出して足を止めた水野。ぐえってなんやねん。
「な、なに?どーした侑君!」
「いや、せやから……」
「ん?」
どーしたの?と言ってへらへら笑いながら俺の顔を覗き込む水野。
水野の顔をこんなに至近距離でちゃんと見るのは初めてで、「まつ毛が長いんやな」とか「ちっさい口やな」とか変なことが頭に浮かぶ。
今まで女とも思ってなかったのに、急に変に意識してしまって、ブワッと顔が熱くなった。
「こ、こっち見んなや!!!」
「あれれ、もしかして照れちゃったかな〜?」
「黙れや!!!」
にやにやと笑って無理やり視線を合わせようとしてくる水野。
ああ、もう、なんなん。
調子狂うわ。
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冬田(プロフ) - 結衣さん» こちらこそ温かいコメントありがとうございます(^-^)本当に嬉しい限りです!そちらの曲も聞いてみたいと思います! (2020年5月27日 13時) (レス) id: 4ea05f3e1b (このIDを非表示/違反報告)
結衣 - 本当に素敵なお話しをありがとうございます!!OneRepublicのCounting Starsという曲のようで感動しました!聞いてみてほしいです! (2020年5月26日 12時) (レス) id: f0b62f3d9b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬田 | 作成日時:2020年5月15日 20時