ep.3 ページ3
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「なぁきょも」
時刻は夜中の1時過ぎ
毎週土曜夜は俺らの冠レギュラーのラジオがある。
とは言っても、毎週出演してるのは樹だけで
あとは交代で出演してる。
「ん?」
「らんらんの事好きってことでおけ?」
唐突に言われるもんだから、
帰りの支度をしていた手はフリーズし、
目だけ樹の方へ向ける。
「うん。好き、てか大好き」
…うわ、恥ず。すごい早口になってしまった
「そうだよな〜」樹は、どうも絶妙な表情をする
「みんな言わないだけで、知ってるもんだと思ってたけど」
俺がAちゃんと話すと、みんながこっち見てやたらニヤニヤしてるの知ってたし。
「うん、そうだろうなって思ってた。でも…」
樹はキャップを被り直すと
「俺も最近すげー好きって事に気付いてさ」
「ごめん」と続けて言う樹。
「え、なんで謝るの」
内心この状況にドキドキしているけど、
笑ってごまかす。
「最初はそういう感情なく可愛がってたつもりなんだけど今日のきょもの発言に気付かされてしまったというか…」
"俺の番なんだから、樹の名前とか出さないで"
「まじか…」
「邪魔するつもりは無いけどさ…俺も本気だから、らんらんが俺を選ぶ可能性もあるじゃんね、だから先に伝えておこうと思って」
樹を選ぶ可能性、ていうか…
そもそも俺を選ぶ可能性すら
今のままじゃこれっぽっちも無い。
「よりによって樹かぁー」
「俺だって、きょもと好きな子被るなんて思っても無かったし」
「Aちゃん全然ギャルじゃない」
「うん、俺もびっくりしてる。てか名前で呼んでた?」
「本人を呼ぶときは苗字だよ、キモがられたくないし」
「流石に平気だろ」樹は笑って言うけど、俺にも俺なりのタイミングがあって、どう呼ぶかは俺の中では結構重要な問題だったりする。
「俺もこのままじゃダメだなぁAちゃんてかなり鈍感だし」
「そう?俺からしたら、圧倒的にきょもが有利なんだけど」
「どういうこと?」
「言いたくないなぁー」
俺を見ずにそう言う樹はなんだか切なそうな顔。
「まぁとにかくさ、俺はきょもの事もすげー好きだから。俺のこと嫌いになんないでね?」
すぐにいつものテンションに戻って俺の肩を組む
「なるわけ無いじゃん」
「じゃあな」俺らはそれぞれタクシーに乗り込む
スマホを開けば、トップニュースに
モデルと運転手の熱愛報道。
いつか俺らも載ったりして。
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作者名:Mey | 作成日時:2020年9月4日 22時