ずっと、もっと。 (ページ9)

今日:54 hit、昨日:44 hit、合計:316,064 hit

09 ページ9

・

それからかれこれ3ヶ月くらい、
お互い暇な時はどちらかの家にきては
虚しい行為を続けている

まさかサークルの後輩と関係を持つなんて
思っていなかったし、自分がそんなことするような
人間だと思ってなかった

1人で悲しくなるよりマシだと、
元太くんにとっては大勢いる内の1人なんだろうけど

「あ、起きた」

さらさらの黒い髪をそっと撫でると
目にかかった前髪の間からパチリと開いた目と
視線がぶつかる

「今日、海人さんも来てたの？」

「うん、来てたよ
怜奈さんの仕事終わりに合わせて帰っていったけど」

「…そう。また可哀想な顔してる」

「前に呼ばれた飲み会で知らない男がさ、
＂好きな子は大事にしたいからこそ手を出せない＂
って言っててね、他の女の子とは遊ぶのにだよ？」

元太くんから借りたパーカーの紐をいじりながら
寝転がる元太くんの隣に滑り込む

「うん」

私の髪を耳にかけ撫でながら元太くんが相対を打った

「私は理解できなかった。手を出されて離れられない関係になってまで好きな人に見てほしいって思った。
…ま，そんなことできなかったんだけどさ」

「元太くんはその人の言うこと分かる派？」

見上げると口を尖らせて元太くんが唸る

「んー俺もどっちかと言うとAさん派かな
まー恋愛であれこれ考えるのだるいから流れに任せるってだけなんだけどね」

「元太くんらしいね」

「そう？てことで、もっかい」

そう言って元太くんが覆い被さってきて唇が重なり
背中に手を回すと、虚しさのはじまりの合図だ