ずっと、もっと。 (ページ48)

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「…いつもこの道1人で帰ってんの？」

薄暗い道を歩きながら
きょろきょろとうみがあたりを見回す

「まぁ、そうだね」

バイト先が近い元太くんと合流して
元太くんの家に行く時は違うけれど、

わざわざ説明するのも面倒で返事をする

「1人じゃやっぱあぶねーよ。なんで…」

おそらく＂なんで俺に連絡しないの＂といったところだろうか。

また期待させるようなことを言うんだなと
心が少しだけきゅっとなる

「…連絡はできないよな、ごめん」

俯きながらうみがぽつりとつぶやく

「いや、いいよ…それに何もないし大丈夫」

だから気にしないで？と顔を覗き込むと
うみが恥ずかしそうに笑いながら顔を背けた

「元太…とかに連絡して一緒に帰ってると思ってた」

思わぬ名前に少しだけ顔が強張る

なんでここで元太くんの名前が？

もしかして何か知ってるのだろうか

…元太くんが話すわけないし、

そもそも話されて困るようなことをしているから
自業自得だ

「…なんで元太くん？
サークル室でもそんなに見かけないのに」

平常心を保ちながら言葉を紡ぐ

「…いや、俺以外に喋るのあいつくらいしか
浮かばなかったから。あいつ使えよ、すぐ来るよ」

「使えって言い方！」

そういうと、
いつもの面白がったような笑顔のうみが見えて

少しだけ心の中でほっとしている自分がいた