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「Aおまたせ、」
『あ、晃お疲れさま、』
駅の中の長椅子で待っていたAの元に行くと、奮発して買ったというカメラを眺めながらニコニコして…いや、ニヤニヤしています。
「何?」
『あ、これ、さっきの』
「お、見せて」
『うん、どーぞ』
「これ動画も撮れんの?」
『もちろん、今日は動画ばっかり』
「ハイスペックだね」
『これ、晃のバッティング完璧、すっごいかっこよかった』
「ほんと?」
『うん!』
ふと顔を上げると、Aとの距離がかなり近くて驚く。俺の顔、多分今赤い。それを隠そうと俯くと、大丈夫?とAが顔をのぞいてきた。
『疲れたよね、帰ろっか』
「うん、」
『あ、もうすぐ電車来ちゃう、急ご』
全校応援で休みの日にわざわざ制服着て、良くやるよな。でも、Aの応援はやっぱり嬉しくて、どんな声援の中でも好きな奴の声は1番俺の耳に届く。
「A、声ガラガラ、」
『晃の応援頑張ったもん、』
電車を降りて、後は家まで歩く。いつもよりゆっくり歩いていること、Aは気づいているかな。
「Aの声聞こえた、」
『ほんと?』
「うん、晃ーって、声めっちゃ通るよね」
『やったー、頑張った甲斐あるね』
「はは、ありがとう」
『ううん、あたしが1番晃こと応援してるもん』
「ねえA、」
『ん?』
「甲子園でも、応援してくれる?」
『もちろん!当たり前!』
「よし、なら頑張る」
『あたしの応援で頑張れるの?』
「そりゃ、……好きな奴に応援されたら嬉しいし頑張れるでしょ」
『…へ、』
「……なあ、A、」
俺の気持ち、届け。
(→つづく)
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いちか(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます!きゅんきゅんしましたかね?良かったです。結婚式や子どもが生まれた話など書いてほしいとのお話もいただいてますので検討中です◯ありがとうございました! (2019年2月24日 0時) (レス) id: d72f7e0d49 (このIDを非表示/違反報告)
りりり - 更新を楽しみにしていた一読者です。ものすごくキュンキュンしながら読ませていただきました。家族となった2人のお話の続編も楽しみに待っております。 (2019年2月22日 12時) (レス) id: a5ef03bd84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちか | 作成日時:2018年10月28日 20時