▽ 15歳 春 ページ28
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「……A、?」
中村晃、15歳。
『おはよ、晃、』
松田A、15歳。
「なん、で…、?」
『何でって、何が?』
「制服、…それ…」
『ふは、同じ高校だから?』
高校の入学式。母さんに玄関でちょっと待ってて、と言われたので少し待っていると現れた人がA。同じ帝京高校の制服を着ていて、ニコニコ笑っている。
『今日からまた、同じ高校に通います、よろしくお願いします』
「…うそ、」
『ずっと晃には内緒にして貰ってたの、晃野球で忙しそうだったし、それに帝京行くって言ったら止められそうで』
「そりゃ止めるよ、Aならもっと上の高校目指せたじゃん」
『いいの、』
「よくねーだろ、何で俺と同じ学校なんて…」
『そう言われるから言わなかったの、』
「…何でだよ、」
『だって、晃と同じ学校に通いたかった』
少し泣きそうになって俺を見つめるもんだから強く言えなくて。それ以上に同じ高校を選んでくれたことに感激していた。
『晃の野球してるところ、目の前で見てたかった』
「…A、」
『ねえ、許して?』
「…ばか、」
『あとね、もう一つわがまま聞いてほしいな、』
「?」
『とりあえず、歩こうか、』
「…、」
『いい天気だねー』
高校生になったらもう一緒に登校することなんてないと思っていたのに、思いがけないサプライズで俺は驚きを隠せていない。
『あのね、晃、』
「ん?」
『朝練ある日も、夜も練習終わるの待つから、また一緒に登下校させてください』
「、は?」
『晃と一緒に、登校したいの』
「…A、」
『朝も夜も、移動中は目覚まし時計になります、なので、わがまま聞いてくれませんか』
「…それでAはいいの?」
『うん、移動中が勉強時間にもなるし、お母さんたちもそれなら安心だねって』
「…俺でいいのかな、」
『ふは、だって晃は生まれた時から一緒だもん、お母さんたちも安心するよ』
「じゃあ…こちらこそ、目覚ましお願いします」
『ふふ、うん、』
「テストの時は、家庭教師お願い」
『らじゃ、』
(晃!起きて!駅ついた!)
(もう少し早く起こして!)
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いちか(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます!きゅんきゅんしましたかね?良かったです。結婚式や子どもが生まれた話など書いてほしいとのお話もいただいてますので検討中です◯ありがとうございました! (2019年2月24日 0時) (レス) id: d72f7e0d49 (このIDを非表示/違反報告)
りりり - 更新を楽しみにしていた一読者です。ものすごくキュンキュンしながら読ませていただきました。家族となった2人のお話の続編も楽しみに待っております。 (2019年2月22日 12時) (レス) id: a5ef03bd84 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いちか | 作成日時:2018年10月28日 20時