僕を好きだと言う泣き虫 sh7

情けない ページ15

.



『…というわけで、』

1「俺のところに逃げてきたってわけね、」

『はい、』





晃と大喧嘩をした。内容はくだらなさすぎて話せないくらい。でも始めて晃が大声を出して怒って、あたしも訳もわからず言い返して家出をしてきた。



それで、連絡先の１番上にあった人に電話をかけたら内川さんだったってわけで。





『すみません…』

1「いいよ、全然、」

『奥さんにも迷惑かけて…』

「全然気にしないで、もう子どもも寝てるし大丈夫、」

『はあ…ほんと…情けない』

1「そんなこともあるよ、たまーに喧嘩するもんな？」

「そうね、小さなことで大喧嘩したこともあったっけ、」

1「あったあった、」

『お２人でもあるんですね、』

1「子どもが生まれてからはあんまりないかもね、」

「そうかも、親になるとね」

『そういうもんですかね…』





内川さんの奥さんは素敵な方だ。元アナウンサーなだけあるし、きっぱり仕事を辞めて旦那さんをサポートしているところもすごいと思う。





『結婚、か…』

1「もう結婚しててもおかしくないやろ？交際歴的にも、まだ結婚してへんのかってくらいやし」

「何年付き合ってるの？」

『もうかれこれ１０年以上は…』

「１０年、！？」

『はい…高校からなので…ちなみに来年三十路です…』

1「俺たちより長いかもやな、」

「ほんとにそれ」





驚いて口が閉じてません、奥様。まあ、生まれた時からほぼ一緒にいたから、付き合ってる感ってないのかもしれないけど。





「それでも、きっと中村くんはちゃんと考えてると思うけどね」

『…そうですかね、』

「実はね、前に、球場で２人を見かけたことあるの」

『え、ほんとですか？』

「うん、中村くん、すごい嬉しそうだった」

1「晃、Aちゃん来た時の幸せオーラ隠せてないからな」

『…嘘、』

「だからね、大丈夫よ、」

『…そう、ですかね』

「うん、それに中村くん、しっかりしてそうだし」

1「真面目やからな、あいつ」

『まあ、はい』

「Aちゃんは、そのままでいいと思う」

『…はい、ありがとうございます』





きっと、２人なら大丈夫。あたしも本当はそう思う。





(ねえ晃、そうだよね？)

→つづく

▽→←俺と付き合わん？ (9)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す