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…
その日はずっと家にいて。思い出をはなしたり、体を求めあったり。お互いの気持ちを伝え合う時間を過ごした。
これまでも涼太の事が好きだったけど。
その愛の深さを知って、より一層思いが強くなったんだ。
夕食を取ったあと、いつものようにソファに座って紅茶を飲んでいたら外で花火の上がる音がした。
「あ、今日は花火大会か。」
「ホントだ。ねぇベランダに出よ？」
「うん。」
色とりどりの花火を眺めながら、色んな思いがよぎった。
涼太と夏を過ごすのは、何度目になるんだっけ。
隣には、大好きな涼太の横顔。
そっと手を重ねると、涼太の両手が私の左手を包み込んだ。
「俺と、結婚してください。今よりもっと、幸せにするから。」
気がつくと、魔法みたいに薬指に輝く指輪がつけられてた。
驚いて彼を見ると、
「去年から準備してたんだけど。なんというか、タイミングが見つからなくて。」
恐らく、
彼は幸せという感情だけではなく、前世を知らない私の事を考えて一人で思い悩んでいたんだろう。
ごめんね、一番近くにいたのに。
私が思い出すという保証はないし、彼にとってとても厳しく長い時間だったんじゃないのかな。
「私も、涼太のこと必ず幸せにするから。私と結婚してください。」
「ふふ、ありがとう。」
「私のこと、見つけてくれてありがとう。」
「たとえ遠く離れていたとしても、必ず巡り合うと信じてたよ。A、愛してるよ。」
「…私も、ずっと、愛してる。」
時代に翻弄された私達の、新たな愛の誓い。
長い時を経て。
やっと。
その運命を結ぶことができた。
この手が。
心が。
あなたを覚えていた。
end
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作者名：みち
| 作成日時：2020年7月12日 9時
