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17時を過ぎると、ゆったりとした空気に包まれる。
『ありがとうございました』
お客様１組を見送り、店内は誰もいなくなった。
19時にお店を閉めるので、少しずつ片づけや閉め作業の準備を始める。
レジのお金を数えていると、カランっと入口のドアのベルが鳴った。
『いらっしゃいませ』
？「あの、すみません。長尾謙杜といいます。スマホを忘れてて……」
午前中に来店していた男の子ふたりのうちの、小柄な彼が立っていた。
『あぁ！お待ちしてました。今お持ちしますね』
少し待っていただいて、休憩室からスマホを持ってくる。
『こちらでお間違いないですか？』
謙「あぁ、そうです！ありがとうございます」
彼が可愛らしい顔でにこっと笑う。
世の中には、こんなに可愛く笑える男の子がいるのか…
『よかったです。スマホないと落ち着かないですよね』
謙「いやー、ほんまそうっすね。今日一日ソワソワしてましたもん」
スマホを忘れた経験はないけど、気持ちはなんとなくわかる。
謙「えっと…じゃあ、また食べに来ますね。ありがとうございました、Aさん」
彼はそう言うと軽くぺこっと頭を下げて、お店を出ていった。
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作者名：雪 | 作成日時：2022年11月24日 4時
