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『わ、わたしにできることなら…』
"何言われるんだろう"と少し身構えていると、
謙「……俺のこと、名前で呼んでくれへん？」
『……へっ？』
想定外のお願いに戸惑ってしまう。
『そんなことで、良いの…？』
謙「うん」
わたしより少し背が高いはずの長尾くんが、まるで子犬のような上目遣いで見つめてくる。
長尾くんの、名前……
『……謙杜、くん？』
意を決して下の名前で呼ぶ。
彼の顔がぱあっと明るくなったかと思うと
「はい！」と無邪気に笑って返事をしてくれた。
謙「Aさんに"謙杜"って呼んでもらえるの嬉しい！」
『本当？じゃあこれからは謙杜くんって呼ぶね』
「うん！」
謙杜くんの顔が本当に嬉しそうだったから、わたしもなんだか嬉しくなる。
謙「じゃあー…行こっか」
『うん』
賑やかな中華街を抜けて、ふたり肩を並べて山下公園方面に歩き出した。
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作者名：雪 | 作成日時：2022年11月24日 4時
