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コースを予約してくれていたらしく、アミューズ、アントレ、季節のスープが順番に運ばれてくる。
そのどれもが絶品で。
良い大人なのに「おいしいね」としか言葉が出てこない自分の語彙の少なさが恥ずかしいけど…
目の前の長尾くんも同じように「おいしい」と笑うから、あったかい気持ちになった。
「失礼いたします。メインディッシュをお持ちしました」
目の前に、赤ワインとカシスのソースがかかった鶏肉のコンフィが置かれる。
「『おいしそう…！』」
謙「あ、ハモった」
『本当だね』
思わずふたりで顔を見合って笑う。
謙「なんかAさんとこうして一緒に食事してるん、不思議な感じやなあ」
『わたしも思った。あと、長尾くんとは結構食の好みが合うなあって』
謙「あ、それ俺も思った！同じもの食べて"おいしい"って言い合えるのええなあって」
『そうだよね。今もすごく嬉しい』
わたしがそう言うと、長尾くんは一瞬目を丸くした後「俺も」と笑ってくれた。
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作者名：雪 | 作成日時：2022年11月24日 4時
