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悠「あ、じゃあそろそろ帰ろうか。明日も早いし、俺」
空が赤く染まり始める頃、改札前で握っていた手を離した。
『そうだよね。今日は楽しかった！忙しいのに、時間作ってくれて本当にありがとうね』
悠「こちらこそ。送っていけないけど、大丈夫？」
『まだ明るいから平気だよ』
悠「そっか、また連絡するわ」
そう言って手を振ると、悠くんは改札の中に入っていく。
その後一度も振り返ることはない。
姿が見えなくなってから、小さなため息をひとつ。
悠「なんかさ、つき合いたてのころはいろいろ喧嘩とかもしたけど、最近はお互い居心地が良いというか。」
悠「Aとなら、これからもずっと一緒にいて楽しいと思ったんだよね。」
いつか彼が言った言葉を思い出す。
居心地が良いというのを、わたしは感じたことがない。
むしろ、学生の頃のほうがお互い本音で話せて楽しかったような気がする。
もやもやした気持ちを抱えたまま、履きなれない花柄のスカートを翻して歩き出した。
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作者名：雪 | 作成日時：2022年11月24日 4時
